登録/更新年月日:2014(平成26)年1月11日 |
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【意義】 平成13(2001)年12月に制定された文化芸術振興基本法第7条は,「政府は、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、文化芸術の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない」とし(第1項),この基本方針は「文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するための基本的な事項その他必要な事項」について定めるものと規定している(第2項)。基本方針案は,文化審議会の意見を聴いて文部科学大臣が作成する(第3項)。教育振興基本計画のように国会報告の規定はないが,閣議決定により定められている。 初めての基本方針は,基本法制定後文化審議会における審議を経て,平成14(2002)年12月に「おおむね5年間を見通し」た方針として定められた。さらに平成19(2007)年2月には,平成19年度からおおむね5年間を見通した第2期基本方針が定められた。平成26(2014)年現在においては,これに続く第3期の基本方針(平成23(2011)年2月閣議決定。おおむね23年度から27年度を見通したもの)のもとに各種施策が進められている。 教育やスポーツの振興に関する施策の基本的事項が「計画」として定められているのに対し,文化芸術に関しては,その振興における国の役割の性格にかんがみ,「計画」という用語をあえて避け,「基本的な方針」という用語を用いたものである。いわゆる「アームズレングスの原則」の考え方を踏まえたものということができる。 【第3期基本方針の概要】 第1部においては,文化芸術振興の意義として,人々の心豊かな生活の実現とともに,文化芸術を国力を高める「ソフトパワー」と位置づけ,基本的視点として次の3つを挙げている。 (1)成熟社会における成長の源泉 成熟社会における成長分野として潜在力を喚起するとともに,社会関係資本を増大させる公共政策であるとして,文化芸術への公的支援を戦略的投資と捉え直す (2)文化芸術振興の波及力 教育はもとより,福祉,まちづくり,観光・産業等周辺領域への波及効果を視野に入れ,強みを生かした施策を戦略的に展開する (3)社会を挙げての文化芸術振興 個人や企業,民間団体を含め,それぞれの役割を明確にしつつ相互に連携し,社会を挙げて文化芸術振興を図る 第2部においては,「文化芸術立国」の実現を目指す重点戦略を次の6つに整理し,さらに第3部において,文化芸術振興基本法第3章(基本的施策)の規定に沿って各般にわたる基本的施策を列挙している。 (1)文化芸術活動に対する効果的な支援 (2)文化芸術を創造し,支える人材の充実 (3)子どもや若者を対象とした文化芸術振興策の充実 (4)文化芸術の次世代への確実な継承 (5)文化芸術の地域振興,観光・産業振興への活用 (6)文化発信・国際文化交流の充実 【着実な実施】 第3期基本方針策定後,いわゆるアーツカウンシルをめざした日本芸術文化振興会の体制整備(平成23年度から段階的に実施),「展覧会における美術品損害の補償に関する法律」(23年6月施行)や「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(平成24年6月公布・施行)の制定など,基本方針に掲げられた施策が着実に実施されている。また,文化庁所管予算の総額も,毎年度少しずつではあるが増額が図られてきている(平成26年度政府予算案時点)。 br> |
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参考文献 ・文化芸術の振興に関する基本的な方針: http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/housin/index.html |
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