登録/更新年月日:2014(平成26)年1月11日 |
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【第3期基本方針の特徴】 第2期と第3期の基本方針は,章建てはやや異なるものの,「文化芸術振興の意義」,「基本的視点」及び「重点的に取り組むべき事項(重点施策)」から成る総論部分と,基本法の規定に沿って具体的施策を列挙する各論部分から構成されている点は共通している。また,重点事項(重点戦略)についても,順序は違うが「人材の育成・確保」,「国際交流・発信」,「文化芸術活動支援」,「地域文化振興」,「子どもを対象とする施策の充実」,「文化芸術の継承」という6つの柱から構成されている点はほぼ共通している。しかし,その内容を見ると,第3期基本方針はいくつかの明瞭な特徴を持っている。 まず第一に,第2期基本方針が,「日本を元気にする」といった精神面を前面に出しているのに対し,第3期基本方針は,文化芸術を端的に「成長の源泉」と捉え,その社会的・経済的波及効果を強調している。第二に,このような認識に立って,波及効果を視野に入れて文化芸術振興施策を戦略的に展開するという方向性を示し,そのための国の支出を「投資」と捉える考え方を示している。第三に,重点施策についても,このような戦略的な施策展開のために,従来の施策の単純な延長ではない,新しいシステムの導入を盛り込むとともに,地域文化振興をはじめとして,産業振興やまちづくり,あるいは社会関係資本の形成のための「文化芸術の活用」を,正面から重点施策として位置づけている。第四に,その一方で,衣食住に係る「くらしの文化」など,人々の日常的な生活の中の文化活動への目配りも行っている。 【社会教育・生涯学習の観点から見た第3期基本方針】 このように見てくると,第3期の基本方針の考え方には,第2期の教育振興基本計画や中央教育審議会生涯学習分科会の議論における社会教育や生涯学習振興施策の方向性とも共通する面が少なくない。まちづくりや絆づくり(社会関係資本形成)とそのための基本である人づくり,美術館・博物館や図書館の充実,様々な主体間の連携の重要性も強調されている。第3部に掲げられた個別の施策を見ても,社会教育・生涯学習振興施策と不可分のものが多く,そのような視点から現場レベルでのよりいっそうの連携・協働が期待される。 また,同様の観点から,劇場や音楽堂を,図書館や美術館・博物館同様社会教育施設として捉え直すことも必要ではなかろうか。 さらに,平成25(2013)年12月現在中央教育審議会教育制度分科会において検討中の教育委員会制度の見直しにおいては,社会教育や文化財保護行政については引き続き教育行政部局が担当する事務として位置づける一方,文化財保護を除く文化に関する事務については首長部局が所管することを原則とする方向になっている。しかし,行政庁内の所管部局如何に関わらず,幅広い関係者をつなぐネットワーク型行政が求められることについても,両者の考え方は共通していると考えられる。文部科学省本省も含め,施策の推進体制の在り方自身も,基本方針・基本計画に示された考え方を踏まえて再検討が必要な課題である。 br> |
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参考文献 ・教育振興基本計画(第2期,平成25年6月):http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/1336379.htm ・中央教育審議会生涯学習分科会議論の整理(平成25年1月):http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/toushin/1330378.htm |
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