生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月31日
 
 

雑誌記事索引 (ざっしきじさくいん)

periodical index
キーワード : 雑誌記事索引、国立国会図書館、大宅壮一文庫、国立情報学研究所
大庭一郎(おおばいちろう)
3.日本の公共図書館における雑誌記事索引の活用
  
 
 
 
   日本の公共図書館は、国立国会図書館のNDL-OPACの雑誌記事索引、大宅壮一文庫の雑誌記事索引(冊子体・CD-ROM版・Web版)、国立情報学研究所のCiNiiなどを利用して、雑誌記事を用いたレファレンスサービスを推進する必要がある。CiNiiは、多数の論文本文にアクセスできるので、重要性が高まっている。従来、公共図書館では、雑誌記事の探索手段として、NDLの「雑誌記事索引」と大宅壮一文庫の「大宅壮一文庫雑誌記事索引」が利用されてきた。しかし、この2種類の雑誌記事索引は、創刊から現在まで提供形態や内容面で多くの変遷を経ているため、今までの経緯を知らずに利用した場合、的確な検索ができないことがある。
 NDLの「雑誌記事索引」の採録雑誌の基準は、昭和31(1956)年頃から作業量との兼ね合いで設定され、学術雑誌を中心に採録されてきた。学会誌の他、大学の紀要類も採録しているが、短期大学の紀要の場合、平成12(2000)年の採録誌拡充以前は家政学などの短期大学特有の学科の紀要のみが科学技術編に採録されていた。平成8(1996)年の採録誌拡充以降は、一般雑誌も採録されるようになった。しかし、一般雑誌の採録は、「大宅壮一文庫雑誌記事索引」と比較すると不十分な点が多い。NDLの「雑誌記事索引」では、採録記事の基準が設定されている。採録対象誌であっても掲載記事を全て採録している訳ではなく、2ページ以下の記事、情報・広報記事、資格試験問題、判例、文学作品などは原則として除外されている。一般雑誌は、2ページ以下の記事も多く、採録漏れがかなり生じる。NDLは、平成14(2002)年10月1日から、NDL-OPACを通じて「雑誌記事索引」のWeb版を公開した。Web版の収録期間は、昭和23(1948)年以降の人文・社会編と昭和25(1950)年以降の科学技術編である(更新は毎週月曜日)。Web版のタイムラグは,週刊誌は基本的に2週間,月刊誌は2〜4週間である。
 「大宅壮一文庫雑誌記事索引」は、大宅壮一がジャーナリストおよび作家として収集した膨大な雑誌資料を基礎にしており、一般誌と呼ばれるような雑誌を収録対象としている。「大宅壮一文庫雑誌記事索引」は、採録雑誌・採録記事ともに明確な採録基準が公開されていない。採録雑誌と採録記事は、両者ともに時代やニーズによって柔軟に決定・採録されている。大宅壮一文庫は、平成14(2002)年7月から、「大宅壮一文庫 雑誌記事索引検索 Web版(Web OYA-bunko)」の提供を開始した。Web版の収録期間は、主に昭和63(1988)年以降である(昭和62(1987年)以前は冊子体で検索)。更新頻度が月1回(月初めの金曜日)のため、大きなタイムラグが生じている。しかし、主要な採録雑誌の採録記事については、NDLの「雑誌記事索引」よりも網羅的な索引が作成されている(2ページ以下の記事を収録)。
 一般誌の雑誌記事を効率的に検索するには、Web版の「大宅壮一文庫雑誌記事索引」とNDLの「雑誌記事索引」を適確に併用しなければならない。Web版の「大宅壮一文庫雑誌記事索引」は、タイムラグが大きいが、一般誌の記事索引としてその網羅性が高い。NDLの「雑誌記事索引」は、タイムラグは小さいが、Web版の「大宅壮一文庫雑誌記事索引」と比較した場合、一般誌をあまり収録しておらず、採録記事の点数でも網羅性に欠けている。両者の特徴を踏まえた検索が必要である。
 
 
 
  参考文献
・大庭一郎「日本の公共図書館における雑誌記事索引の活用:国立国会図書館と大宅壮一文庫の雑誌記事索引を中心に」『日本生涯教育学会第27回大会発表要旨集録』2006.10,p.16.
・「NDL-OPAC」 http://opac.ndl.go.jp/index.html (参照2009-08-31)
・「Web OYA-bunko教育機関版」 http://www.oya-bunko.com/helptop/index.html (参照2009-08-31)
 
 
 
 
  



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