生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年12月31日
 
 

キャリア教育研究の課題 (きゃりあきょういくけんきゅうのかだい)

problem of the career education study
キーワード : キャリア、職業指導、進路指導、キャリア教育、キャリア教育研究
安部耕作(あべこうさく)
1.職業指導からキャリア教育へ
  
 
 
 
  【定義】
 キャリアとは、職業・職歴ばかりでなく社会的な活動歴を含むものであり、アンペイド・ワークも含めた生き方に関わる全ての経験である。中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23(2011)年)は、「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」(平成16(2004)年)などの議論を踏まえ、キャリアを「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」と定義している。
 このようなキャリア概念に立ち、同答申はキャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義づけるとともに、これまで混同が見られた職業教育を「一定または特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育」と定義し、キャリア教育を職業教育と区分して意味づけている。
【説明・動向】
 社会的・職業的自立に関する教育は当初、職業指導という名称でアメリカからその概念が導入された。我が国で最初に職業指導という用語が使用されたのは、大正4(1915)年に入澤宗寿が『現今の教育』で、アメリカの職業指導を紹介してからである。昭和24(1949)年には文部省が『職業指導の手引き』で、米国職業指導協会の定義(昭和14年)を導入した。昭和24(1949)年に教育職員免許法が制定された際に、職業指導も教員免許科目となった。しかし、職業指導という用語が職業教育、就職斡旋、進学指導等との相違が曖昧になっていたことへの反省から、昭和33(1958)年に学習指導要領改訂の際に職業指導から進路指導へと名称が変更された。我が国では、昭和34(1959)年から平成15(2003)年までを進路指導の時代と呼ばれている。
 若者の学校生活から職業生活への移行という課題が顕在化してきたことを踏まえ、キャリア教育という用語が、中央教育審議会答申「今後の初等中等教育と高等教育の接続の改善について」(平成11年)ではじめて用いられた。平成16(2004)年に文部科学省が「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」で進路指導の中核としてキャリア教育の推進を提言した。我が国では、平成16(2004)年はキャリア教育元年と呼ばれている。我が国の個人の社会的・職業的自立のための教育は、職業指導から進路指導、進路指導からキャリア教育へと段階的に移行したことが特徴である。
 
 
 
  参考文献
・仙崎武・池場望・宮崎冴子著『新訂・21世紀のキャリア開発』文化書房博文社、平成17年(2005)年、89頁
・坂本昭「職業指導から進路指導へ」日本キャリア教育学会編『キャリア教育概説』東洋館出版社、平成20(2008)年、30〜36頁
・吉田辰雄「職業指導から進路指導へ」日本キャリア教育学会編『キャリア教育概説』東洋館出版社、平成20(2008)年、37〜43頁
・宮崎冴子『改訂版若者のためのキャリアプランニング−すばらしい未来を拓くために−』社団法人雇用問題研究会、平成21(2009)年、19頁
 
 
 
 
  



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