生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2013(平成25)年10月26日
 
 

教育基本法 (きょういくきほんほう)

Basic Act on Education
キーワード : 教育振興基本計画
合田隆史(ごうだたかふみ)
1.意義と経緯
  
 
 
 
  【意義】
 教育基本法(平成18年12月22日法律第120号)は、「日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図る」ことを目的として、昭和22(1947)年制定の教育基本法(以下本稿において「旧法」という)を全部改正して制定された。前文と本則4章18条及び附則から成る、教育に関する法令の基本となる法律である。その概要は、次の5点に集約される(平成18年12月22日事務次官通知)。
1)一般の法律にはない前文を特に設けて、本法制定の趣旨等を明らかにしていること。
2)教育の目的及び目標について、旧法にも規定されている「人格の完成」等に加え、「公共の精神」や「伝統と文化の尊重」など、今日重要と考えられる事柄を新たに規定したこと。また、教育に関する基本的な理念として、生涯学習社会の実現と教育の機会均等を規定したこと。(第1章(第1条から第4条まで)関係)
3)教育の実施に関する基本について定めることとし、旧法にも規定されている義務教育、学校教育及び社会教育等に加え、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育並びに学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力について新たに規定したこと。(第2章(第5条から第15条まで)関係)
4)教育行政における国と地方公共団体の役割分担、教育振興基本計画の策定等について規定したこと。(第3章(第16条及び第17条)関係)
5)この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない旨を規定したこと。(第4章(第18条)関係)
【制定の経緯】
 旧法は、日本国憲法の制定を受け、その理想の実現を目指す教育の基本を確立するために制定された。その理念の下、世界的にも高く評価される教育の諸制度が整備され、我が国の発展を支えてきた。しかし、制定後半世紀を経て、新しい教育の理念を明示し、国民の共通理解のもとで社会全体で教育改革に取り組むことが必要となっているとの認識から、平成12(2000)年12月22日、内閣に設置された教育改革国民会議報告において、教育基本法の見直しが提言された。 
 これを受けて、翌13(2001)年から中央教育審議会の審議が開始され、15年3月「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の答申が行われた。その後、与党教育基本法に関する協議会における検討を経て、平成18(2006)年4月、第164回通常国会に内閣(第3次小泉改造内閣、小坂憲次文相)から「教育基本法案」が提出された。同国会では継続審議となったが、秋に召集された第165回臨時国会で可決成立、教育改革国民会議報告からちょうど6年目に当たる12月22日に公布・施行された(第1次安倍内閣、伊吹文明文相)。
 
 
 
  参考文献
(旧法に関するものとして)
・教育法令研究会『教育基本法の解説』国立書院、昭和22(1947)年
・田中耕太郎『教育基本法の理論』有斐閣、昭和36(1961)年
(現行教育基本法に関するものとして)
・教育基本法研究会『逐条解説改正教育基本法』第一法規、平成19(2007)年
・教育基本法について:http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/index.htm
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.