登録/更新年月日:2009(平成21)年9月12日 |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
【字義】生涯学習研究にあっても、シミュレーションを含む計算研究とホーリズム研究を進める必要性が高まると考えられるので、今後の課題としてそれらをあげるもの。 【説明】 「生涯学習研究の方法」であげた計算研究とホーリズム研究は、新たな生涯学習研究の分野を切り開く可能性を持っている。 計算研究(computational research)は、コンピュータによる計算を主な手段として用いる研究のことで、これは数値計算のことではない。 数理科学では問題を数理的な定式化によって記述し、具体的に問題を解く段階で数値計算を行うが、計算研究では、逆に計算を前提として問題を設定し、定式化を行う。それは実際の事象をどのようにとらえて計算するかという観点からの定式化であり、数理的な方法のように線形でとらえればどうなるかとか、対称性のあるところだけに注目するとどうなるか、というような観点からの定式化ではない。 確かに事象の中には線形モデルが当てはまったり、対称性のあるものもあったりするが、それらは、全体からみればごくわずかであり、従来の数理的方法ではうまく扱えない非線形、非対称、複雑な事象の方が圧倒的に多い。 複雑な事象はよほど単純化しないと数理的には扱えないし、実験でその性質を調べることもむずかしい。計算研究はそのような複雑な事象を扱い、実験の代わりに計算を行おうとするものである。ただ、文系では数学では扱えない問題が多い。したがって、文系では、最近急速に発達してきた多値論理、非単調論理、関係計算なども取り入れて、新たな計算研究法を創り出す必要があるように思われる。 「生涯学習研究の方法」であげたホーリズム(holism)は、部分と全体の関係について、全体は部分の総和以上のものとし、全体の優位性を主張する立場である。これには、認識論的ホーリズムと意味論的ホーリズムがある。 認識論的ホーリズムは、クワイン(W.V.O.Quine)が1951年に提唱したもので、経験による検証や反証の対象は、個々の言明ではなく、その理論全体であるとする立場である。 意味論的ホーリズムは、個々の語や文は言語体系全体のコンテクストの中でのみ意味を持ち、理解しうるとする立場である。 「生涯学習研究の方法」では、還元主義はある対象を1次元下位のレベルで説明する方法、ホ−リズムは対象を構成している要素の関係を同次元で明らかにする方法、と述べただけなので、添付資料で還元主義とホーリズムの方法手順を示した。 br> 添付資料:還元主義とホーリズム |
|||||||||||||
|
|||||||||||||
参考文献 ・山本恒夫「日本生涯教育学会30年と生涯学習研究」、日本生涯教育学会年報第30号『生涯学習研究30年-軌跡と展望-』、2009 |
|||||||||||||
『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。 |
|||||||||||||
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved. |