登録/更新年月日:2015(平成27)年1月1日 |
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1年間を通してこの事業に取り組み、ふるさとが人々にとってどれほど大切かを感じていた平成23(2011)年3月11日、東日本大震災が発生した。そのことで、地域の資料を収集・保存する機能をもつ図書館の役割の大きさを改めて痛感し、図書館として何ができるのかを考え、地域の記憶と記録を後世に伝えていく使命があると強く感じた。そうした中で実現した事業を、ふたつ紹介する。 (1)手作り紙芝居 地域の歴史、伝統行事、産業、人物などの紙芝居を作成し、地域の記憶をわかりやすい形で後世に伝えたいと考えた。また、地域の学校、社会教育施設、高齢者施設などあらゆる場所で紙芝居を演じることで地域コミュニティの活性化を企図した。そこで、平成24(2012)年度から群馬図書館の職員と群馬地域内の6公民館の公民館主事が中心となり、全国紙芝居まつり群馬大会実行委員や市民と連携・協力して紙芝居を作り演じることのできる人材の育成に取り組んだ。 まず、公民館で活動している絵手紙や淡彩画のグループ、読み聞かせボランティアのメンバーが協力して地域の昔話を題材にした作品を完成させた。紙芝居を作成するには、地域の歴史、昔話、風習、方言などさまざまな学習が必要になり、図書館での学びが発生した。群馬図書館では手作り紙芝居講座を実施し、秋の読書週間のイベントとして発表会を開催した。この事業は現在も継続しており、手作り紙芝居でボランティア活動を始める個人も現れ、地域のために貢献している。公民館の中には自主グループが立ち上がり、地元の保育園、小学校と協力した紙芝居作りに発展している。 (2)地域づくりカフェ この事業は、地域に役立つ図書館を目指し、その時々にテーマを決めて地域づくりのための話し合いを持つというものである。 平成26(2014)年1月に実施した第1回は、「地域のコミュニティを考える〜東日本大震災における被災地復興支援の経験を生かして〜」をテーマとした。高崎経済大学地域政策学部の教授とゼミ生が、福島県内の自治体の復興支援に関わっていることから、身近にそうした活動をしている人がいることを知ってほしい、せっかくの貴重な体験を地域のために役立てられないかと考え選んだテーマである。 当日は、学生たちの活動報告を聞いた後、グループに分かれて群馬地域のコミュニティのあり方を検討するというプログラムにした。ファシリテーターは学生が務めた。町内会の役員や民生委員といった地域の中心的な役割を担う方々が多く参加し、大変盛り上がった。 地域づくりカフェを図書館で行う意義は、第一に、行政の担当と違い図書館は中立的な立場でさまざまな立場・地域の方々を繋ぐ役割を果たせるため、堅苦しくなく自由な雰囲気で話し合いができること。第二に、直接課題を解決することはできなくても、図書館の資料や情報を通して市民の活動を支援することができること。こうした利点を最大限活用して、高齢者福祉、子育て支援、環境、防災など、市民のニーズに合わせたテーマで、参加者層も広げながら地域づくりカフェを継続していきたい。 地域づくりといっても観光振興、環境、福祉などテーマは数多くある。一人ひとりが自分なりのテーマをもって、次の一歩を踏み出せるような「気づき」のある事業を実施し、さまざまな側面から、図書館の資料を通して市民の学びを支援していくことが重要である。 br> |
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参考文献 |
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