登録/更新年月日:2009(平成21)年9月9日 |
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【字義】 「就業・起業やボランティア活動・社会参加等の新たなチャレンジをしようとする人に対し」、「キャリア形成支援を含めた学習相談を行うとともに、必要な知識等が習得できる学習機会を」「社会教育施設等において提供する」など、「学習相談から学習成果の活用までを一貫して支援する学習支援システム(ワンストップサービス)」のこと。 【説明】 1)文部科学省では平成19(2007)年度から3カ年計画で「再チャレンジのための学習支援システム(以下、「再チャレンジ学習支援システム」)の構築」事業を実施している。同事業は上記の仕組みの実現可能性・有効性をはかるため、地域における実践的な調査研究を大学、専修学校、民間企業、行政等で構成する協議会に委託するものである。協議会の事務局は行政部局であれ、NPOであれ、大学であれ自由となっている。 2)委託先は当初16協議会だったが、平成21年度(最終年度、事業名を「実践型学習支援システム構築事業」に改め)には、北海道再チャレンジ学習支援協議会(以下、「再チャレンジ学習支援協議会」は略)(北海道教育委員会)、あおもり(青森県総合社会教育センター)、多摩地域((財)ネットワーク多摩)、富山県(富山大学)、広島県(広島修道大学)和歌山(NPO市民の力わかやま)、高知県(高知県庁)、しまね(島根大学)の計8協議会に絞られた(括弧内は事務局)。 3)企画募集型の事業(再チャレンジ支援対象も若年者から高齢者まで多様)であって、また就業支援を中心とするか社会参加支援を中心とするかも各協議会の企画次第で全体として一様の取組を進める訳ではない。事業の骨格としては、a.再チャレンジ(就業から社会参加まで)に結びつく講座等の調査把握(洗い出し)と開発、b.再チャレンジ機会の確保・橋渡し、c.学習から再チャレンジまでを支援する学習相談等の試行を通じて、当該地域の実情を踏まえた仕組みを構築しようとするものである。 4)例えば北海道では、ビジネススキルや資格取得を目指した長期にわたる講座(250〜300時間程度)を開設し、キャリアカウンセラーの有資格者が学習相談員として対応するという仕組みで実施されている。地方不況と受講料無料ということからか、定員をこえる応募があり、また学習の継続率も高い。また、「道民カレッジ」との接続も意図されており、実際、講座修了者の約9割がカレッジに入学している。一見すると、まるで労働行政部局が実施するような事業に思える。しかし、労働行政では学習の拡がり・深まりや社会参加への支援までは難しいし、一方、生涯学習行政では職能開発的な学習機会や就業支援についてノウハウがない。両者の支援サービスが融合できる仕組みが見つかれば、この事業は成功したと言える。 5)従来の生涯学習支援策と大きく異なるのは、職業能力に関する学習領域に踏み込んだこと、ある程度「出口」(就業等)を想定した上での学習支援(場合によっては「出口」とのマッチングまで行う)の仕組みを目指していることである。「生涯大学システム」(県民カレッジ等)が都道府県(行政セクター)を中心にした、学習機会(「入口」)提供を中心とした広域的な学習サービス網とすると、「再チャレンジ学習支援システム」は多様な運営主体による、就業から社会参加まで広義のキャリア形成(「出口」)を支援する連携・協力システムである。 br> |
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参考文献 ・saichare!北海道再チャレンジ学習支援協議会 http://saichare.com/ ・伊藤康志「『再チャレンジ支援』と生涯学習政策」日本生涯教育学会年報第28号、2007年 |
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