登録/更新年月日:2009(平成21)年4月8日 |
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ボランティアという言葉の使われ方は、時代とともに変化している。わが国の場合、ボランティアという言葉は、はじめ一部の開明的な人たちによって用いられ、その後奉仕・社会奉仕とほぼ同義語的に使われた時期、次いで社会奉仕活動(ボランティア活動)、奉仕の精神(ボランティア精神)、民間有志指導者(ボランティア)などと補足的・説明的に用いられた時期などを経て、いまに至っている。 昭和23(1948)年から昭和(25)1950年、文部省とCIEによって「青少年指導者講習会」が実施され、その折の講義テーマに、「ボランティアリーダーの養成と訓練」「ボランティアリーダーの選択について」が挙げられた。おそらくこれが、わが国の社会教育史上ボランティアという言葉が使われた最初と思われる。また、社会教育法制定時(昭和24(1949)年)の参議院文部委員会の証人に招聘された横山祐吉(当時、日本青年館事務局長)は、公民館長に「ボランタリーな人を置いた方がよりいい運営が望まれるのでは」と証言し、同法の改正時(昭和34(1959)年)には加藤精三衆議院文教委員会委員が、社会教育主事の養成に関して、「ヴォランティア(略)の深い教養を身につけさせるために、特殊の方法や特殊の学科が必要」と主張している。 その後、社会教育審議会答申「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」(昭和46(1971)年)、青少年問題協議会の意見具申「青少年と社会参加」(昭和54(1979)年) 等によって、ボランティア活動の機運が高められる。また国の補助事業や委嘱事業、たとえば青少年地域活動(昭和54(1979)年)、青少年の社会参加促進事業(昭和58(1983)年)、社会教育施設モデル事業(昭和60(1985)年)などでは、ボランティア活動を展開することが補助要件とされた。さらに、婦人ボランティア促進事業(昭和51(1976)年)、青少年ボランティア参加促進事業(昭和60(1985)年)、社会教育施設ボランティア促進事業(昭和62(1987)年)、生涯学習ボランティア活動総合推進事業(平成2(1990)年)など、ボランティアを冠した補助事業が出現する。このように、国は審議会や補助事業を介して、国民はもとより青少年のボランティア活動の推進に大きな役割を果たしてきた。 一方、受験競争の熾烈化が、ボランティア活動の気運を後押しする。すなわち、青少年の成長や生きる力の啓培を図るうえでは知育中心の過度な学力偏重に陥ることなく、多様な体験活動への参加が不可欠である、という世論の高まりである。これに応え当時の文部省は1993年、高校及び大学、短大・高専の入学者選抜の際に、ボランティア活動を評価するようにと、事務次官通知を出した。さらに平成7(1995)年1月の阪神・淡路大震災の際には、被災地における学生のボランティア活動を授業の一環として位置付けるよう大学等に要請している。そして、学習指導要領には、平成10(1998)年の改訂(2000年施行)時に、ボランティアという言葉が初めて登載された。 平成13(2001)年には社会教育法と学校教育法が改正され、社会教育法には教育委員会の事務に「青少年に対しボランティア活動(略)の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること」が、学校教育法には「体験的な学習活動、特にボランティア活動など社会奉仕体験活動(略)の充実に努める」ことが、それぞれ付加された。この結果、青少年(児童生徒)のボランティア活動の奨励・助長は教育課題および行政課題となった。 br> |
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参考文献 |
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