生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2014(平成26)年12月25日
 
 

近江八幡市の学校支援地域本部事業 (おうみはちまんしのがっこうしえんちいきほんぶじぎょう)

school support area headquarters work in Omihachiman-city
キーワード : 学校支援地域本部、学校支援地域コーディネーター、生涯学習、学習成果の活用支援、学校・家庭・地域の連携
安部耕作(あべこうさく)
3.近江八幡市の学校支援地域本部事業の課題
  
 
 
 
  【課題】
 学校側から見た事業実施上の課題は、1)予算の柔軟な執行ができないこと、2)事業受託による事務の繁忙化である。特に、事務の繁忙化は事業を担当しがちな教頭等管理職の重い負担となっている。
 事業の質的向上のための課題は、1)教職員の理解促進を含む学校側の体制整備、2)学校教育・社会教育部局間の連携である。1)については、「職員会議や始業式で学校支援地域コーディネーターの紹介がなかったので、教職員も児童も学校支援地域コーディネーターの役割や名前を知らない」という学校支援地域コーディネーターの声が象徴している。学校支援地域本部事業を担当する教頭等一部教員だけが事業を理解していて、他の教職員は学校支援地域本部事業の中味や学校支援地域コーディネーターの存在すら知らないということが多い。
 学校支援地域コーディネーターから見た課題は、学校の多忙、と上述の事業の質的向上のための課題の1)である。「授業が始まると職員室から教員が全ていなくなる。教員が多忙で話もできない」という悩みは、学校支援地域コーディネーターの共通の課題となっている。
 事業を今後も継続するための課題は、1)持続的な取組への体制整備、2)活動経費の確保である。
 事業を推進するための体制の課題は、1)行政組織における短期間の人事異動、2)ジェネラリスト養成方針に基づく生涯学習部局における社会教育主事等専門的人材の不在である。
 学校種別の課題としては、中学校での事業実施が難しい、ということがある。中学校は「勉強を教えなければならない」、「中学生は体が大きい」、「小学校に比べればオラが学校という意識が低い」という地域ボランティアの心理的障壁や「部活支援者はすでに中学校で確保できている」、「授業は各教科担当教員が責任を持つ」、「1学年1学級の小学校ならば地域連携授業を学校の年間計画に組み込むための調整は担任一人で可能だが、中学校は多数の教員の調整が必要になり困難」という中学校側の事業に対するニーズの低さが障壁になって、小学校と比べて事業を推進することが難しいという課題がある。
 学校の規模・立地に関する課題は、新興住宅地や大規模校で実施が難しい、ということがある。新興住宅地は地域のつながりが希薄化していることが多いので、地域ボランティアや学校支援地域コーディネーターを発掘することが難しい。大規模校は1学年の学級数が多い。近年は公平性が保護者からも重視されるので、ボランティアを活用した連携授業を行う場合は、全学級で行うことが多い。学級数が多い学校は、各学級の授業の調整や多くの地域ボランティアの確保等の負担が大きくなる。
 学習支援に関する課題は、社会や家庭科、総合的学習等一部教科に実施が偏ることである。
 地域ボランティアの課題は、1)学校支援地域本部事業が一段落すると地域ボランティアが固定化し新たな人材の発掘が難しいこと、2)地域ボランティア間の人間関係、3)守秘義務、4)児童・生徒との人間関係の問題、である。2)については、仲の悪い地域ボランティアが同じ活動に参加しないように学校支援地域コーディネーターが配慮するといった必要が生じている。3)については、学校で見たことを地域ボランティアが地域で話す、4)については、知っている児童・生徒に地域ボランティアが話しかけると、その他の児童・生徒がえこひいきととるといったことを学校側が憂慮している。
 
 
 
  参考文献
・安部耕作「持続可能性に視点を置いた生涯学習の推進−滋賀県近江八幡市の学校支援地域本部事業を軸とした事例−」『日本生涯教育学会年報第34号』日本生涯教育学会、平成25年
 
 
 
 
  



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