生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月25日
 
 

専修学校改革の動向と課題 (せんしゅうがっこうかいかくのどうこうとかだい)

キーワード : 大学入学資格、編入学、専門士、評価システム
今野雅裕(こんのまさひろ)
2.専修学校改革の経緯
 
 
 
 
  ア.制度的な改革
 専修学校は、一条学校とは異なる独自の教育の目的、内容、方法を主張することによって、社会的な存在意義をアピールしてきた。それと同時に、制度的には、公的な教育機関として、学校教育体系の中で適切に位置付けられるべきこと、したがって、学校運営においては一条学校と同等の各種の制度的優遇措置を適用されることを求めて運動を展開してきた。
 学校体系における適切な位置付けにかかる改革としては、主として、既存の学校との円滑な制度的接続の確保にかかるものである。3年制高等専修学校からの大学入学資格の付与(昭和60(1985)年)、短期大学と専門学校との単位互換制度、大学による専門学校での履修成果の単位認定制度(平成3(1991)年)、高等専修学校における学修成果の高等学校での単位認定制度(平成5(1993)年)、一定の要件(修業年限2年以上、総授業時数1,700時間以上など)を満たす専門学校修了者に対し、専門士の称号付与(平成6(1994)年)を行うとともに、大学3年次編入資格を付与(平成10(1998)年)した。また、近年、教育水準の高度化の要請に伴って、3年制、4年制の課程を置くところも徐々に増えてきているところから、一定の要件(総授業時数3,400時間以上など)を満たした4年制課程の修了者には、大学院入学資格が認められるところとなっている(平成17(2005)年)。
 学校運営上の優遇措置にかかる改革では、主として、財政援助であるが、専修学校教員に対し財団法人専修学校振興会が行う研修事業費への助成(昭和53(1978)年)、専門学校への大型教育装置整備費の助成(昭和58(1983)年)、地方公共団体が行う補助事業についての地方交付税への積算の改善、阪神淡路大震災における災害復旧事業費補助(平成7(1995)年)、各種調査研究費補助などが行われてきた。
 また、一条学校に準じた税制上の優遇措置の適用を要望し、消費税・地価税での非課税措置(平成元(1988)年、4(1992)年)、専修学校を設置する準学校法人への特定公益増進法人の認定(平成5(1993)年)など順次実現してきている。専修学校の学生に関しても、JRの学割適用、外国人留学生奨学金の国費枠の導入(昭和57(1982)年)・拡大も行われた。文部科学省以外でも、厚生労働省からは「教育訓練給付制度」の適用機関、また、「公共職業能力開発施設」としての認定により、雇用保険からの資金の導入もなされた。地方公共団体からは、それぞれの団体の基準により、経常費を含め広く各種の助成金が交付されている。
イ.教育内容の改変
 専修学校は、社会や産業の時代的ニーズを敏感に察知し、それに即応した教育の改変を柔軟に行ってきている。専修学校制度創設当初は、服飾・家政系の分野が最も多かったが、その後は一貫して減少し、その後、IT技術の進展などを背景に商業実務系、情報処理系が伸張し、あるいは、介護保険制度の導入に伴って、介護・社会福祉系、医療系が伸長するなど、時々の産業の進展等に応じて、学科・プログラムの新設改廃等が積極的に行われる傾向がある。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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