生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年10月30日
 
 

教育メディア研修カリキュラム (きょういくめでぃあけんしゅうかりきゅらむ)

Educational Media Teacher Training Curriculum Standard
キーワード : 教員研修、カリキュラム開発、IT講習、メディア利用教育、授業設計
吉田広毅(よしだひろき)
2.『教育メディア研修カリキュラムの標準』の特徴
 
 
 
 
  【特徴】
<メニュー方式>
 カリキュラムを開発する際に、その内容を固定化するか、選択可能なものとするのかという問題がある。つまり、必修科目と選択科目の割合をどうするのかという問題である。
 『教育メディア研修カリキュラムの標準』では、研修内容は一切固定されず、研修実施者が自在に研修内容を選択できる構成となっている。研修実施者は、「研修カリキュラムの標準」を参照し、どの講座に研修内容を適用するかを、あたかもレストランのメニューから食べたいものを選ぶかのように選択し、配置していくことで、独自の研修計画を策定するわけである。
 『教育メディア研修カリキュラムの標準』で、このようなメニュー方式が採用されたのは、各研修機関における機材整備の状況や、研修受講者の実態、地域の事情などが異なることが予想されたためである。例えば、「有害情報の扱い」について、地域や機関によっては、ラベリングやキーワードなどによるフィルタリングを実施していることもあれば、特定の子ども用検索サイトや子ども用ブラウザを活用していることもある。また、「動画制作コース」を実施する場合、機材の状況により、これを「デジタル・ビデオカメラを用いたノンリニア編集」とすることも、「アナログ・ビデオカメラを用いたリニア編集」とすることもできる。こうした研修機関のニーズに対応すべく、「メニュー方式」が採用された。
<大項目方式>
 カリキュラムにおいて、研修内容を紹介する際に、それをどの程度の詳しさで示すのかという問題がある。例えば、教育機関におけるネットワーク・セキュリティを研修内容に盛り込む場合、単に「ネットワーク・セキュリティ」とすることもできれば、「スパイウェア対策ソフトウェアを使ったスパイウェアの検索」などとすることもできる。
 『教育メディア研修カリキュラムの標準』では、研修内容の大枠のみを紹介し、その詳細は各研修機関が独自に決定する、いわゆる「大項目方式」を採用している。これは、例えば「デジタル・プレゼンテーション」という内容を扱う場合に、どの程度の詳しさでこれを扱うべきなのかは、地域の事情や研修授業者の実態などによって異なることが予想されるためである。プレゼンテーション・ソフトウェアの活用のみならず、プレゼンテーションの基本理論や構成技法をも説明する必要があることもあれば、web配信などを想定してタイムラインを使ったプレゼンテーションの制作まで話が及ぶこともある。こうした研修機関のニーズに対応すべく、「大項目方式」が採用された。
 
 
 
  参考文献
・文部省社会教育局『視聴覚教育研修カリキュラムの標準』文部省、1973年
・文部省生涯学習局『視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準』、1992年
・日本視聴覚教育協会『「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」の改正に向けた調査研究報告書』日本視聴覚教育協会、2003年
・日本視聴覚教育協会『「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」の改正に関する調査研究報告書』日本視聴覚教育協会、2006年
 
 
 
 
 



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.