生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

少年自然の家 (しょうねんしぜんのいえ)

children's center
キーワード : 自然体験活動、団体宿泊生活体験、主催事業、受入れ事業
松下倶子(まつしたともこ)
1.設置の経緯と目的
  
 
 
 
   少年自然の家は、主として小・中学校の児童・生徒に豊かな自然体験活動、団体宿泊生活体験の機会を提供するために設置されている青少年教育活動の拠点である。設置者によって公立(地方公共団体立)少年自然の家と国立少年自然の家に大別される。平成14(2002)年現在全国に国立・公立を合わせて339施設ある。
 昭和30年代の我が国の高度経済成長期にそれを支える学校教育の強化、都市化による身近な自然の減少等々の変化の中で、子どもたちの日常生活に即した社会性を育む体験や自然の中での直接的な体験の機会を意図的に作ることが求められるようになった。その動きの中で、「子どもたちを大自然の中に連れ戻し、子どもたち自身が、豊かな感性を培い、自発的な活動を展開していけるような場」として、少年自然の家設置の構想が生まれた。昭和45(1970)年、文部省は公立少年自然の家整備の補助を開始した。この年に初めて少年自然の家が設置されたのは、青森、宮城、群馬、香川の4県であった。これらの公立少年自然の家の成果と、より多くの児童・生徒に体験の機会を提供しようという考えに基づいて、国立の施設を設置することになった。学校教育制度発足(明治5年)100周年の記念事業の一つとして設置計画が始まり、昭和50(1975)年、最初の国立少年自然の家が高知県に設置され、以後全国14ヶ所に計画的に設置された。最初の国立施設は平成17(2005)年に設置30周年を迎えている。
 近年、国の行政改革が進む中で公立少年自然の家は、運営を民間委託に移す方向が現われ、現在、この運営形態が増加傾向にある。一方、国立少年自然の家は、平成13(2001)年度から国が重要な施策の実施機関として創設した「独立行政法人」として運営されるようになった。即ち、14の国立少年自然の家は「独立行政法人国立少年自然の家」という一つの法人組織の構成施設として教育事業を展開するようになったのである。
 公立・国立両施設の目的については、法または通知に次のように記されている。
 公立少年自然の家に関しては、昭和48年11月の文部省社会教育局長通知に「公立少年自然の家について」に「少年自然の家においては、少年に学校や家庭では得がたい体験をさせ、それによって次に掲げる教育目標の達成に努めること。
(1)自然の恩恵に触れ、自然に親しむ心や敬虔の念を育てること。
(2)集団宿泊生活を通じて、規律、協同、友愛、奉仕の精神を養うこと。
(3)野外活動を通じて、心身を鍛錬すること。」とある。
 国立少年自然の家については、「独立行政法人国立少年自然の家法(平成12年5月)」に「独立行政法人国立少年自然の家は、少年(学校教育法に規定する学齢児童及び学齢生徒)を自然に親しませつつ行う団体宿泊訓練を行うとともに、その設置する施設を少年の団体宿泊訓練のための利用に供すること等により、健全な少年の育成を図ることを目的とする。」と定められている。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省「文部科学統計要覧平成17年版」 独立行政法人国立印刷局 平成17年
・生涯学習・社会教育行政研究会編「生涯学習・社会教育行政必携」(平成12年度版、平成18年度版) 第一法規 平成12年、17年
・伊藤俊夫他「青少年教育施設職員の手引き」 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター 平成15年
・独立行政法人国立少年自然の家「平成16年度 自己点検・評価報告書」 独立行政法人国立少年自然の家 平成17年
 
 
 
 
  



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