生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年1月4日
 
 

学習グループ・サークル (がくしゅうぐるーぷ・さーくる)

learning group
キーワード : グループ学習、グループワーク、グループ・ダイナミックス、サークル学習、相互作用
古市勝也(ふるいちかつや)
1.学習グループ・サークルの説明、意義・必要性、必要な背景
  
 
 
 
  【説明】
 「グループ」とは、群れ、集団、派など、同一の性質や主義等で分類した組織のまとまり等をいう。グループにも巨大組織の中のグループもあれば、3〜4人が集まったグループもある。「サークル」とは、グループの構成員が共通の目的に向かって、特定の活動を行うグループのことをサークルという。サークルには、音楽や読書及びスポーツ等の趣味、教養、健康づくり等の学習仲間や同好会等を指すことが多い。
 「学習グループ・サークル」とは、学習活動を目的として集まった”学び”の仲間が共通の目的に向かって活動する組織等のことである。特に、社会教育では、共通の目的や興味・関心等で結ばれて活動する小集団を指すことが多い。
 また、伝統的な社会教育関係団体等に対して、緩やかな結びつきの組織のまとまりをグループ・サークルという場合が多い。学習グループ・サークルの学習活動は、集団学習に含まれる。
【意義・必要性】
 人々の学習活動を推進するには、まず、共通の目的を持った者同士が集まり、学習グループ・サークルを作ることによって成員の共通の目標達成を目指すことができる。特に、集団目標と成員目標を一致させることによって、学習目標の達成機能が促進されるとともに、成員が相互に啓発しあって集団の維持機能が発揮される。 具体的には、次のようなことがあげられる。
a)学習の仲間意識が生まれ、居場所が確保され、所属の欲求が満たされる(所属の場)
b)目的達成のための学習内容や方法(手順・手法)等の情報を交換しながら共有できる(情報交換の場)
c)目的に向かって構成員相互に啓発・奨励しながら学習できる(啓発・奨励の場)
d)構成員との相互作用によって学習の継続が促進される(継続促進の場)
e)学習の成果を相互に承認することができる(相互承認の場)
f)学習の成果を仲間とともに自己表現できる(自己実現の場)
 よって、生涯学習の振興・活性化を図るには、多様な学習グループ・サークルの育成・活動を支援するとともに、学習者の拡充と学習内容・方法の充実を目指すことが必要である。
【必要な背景】
 人生80年時代の生涯学習社会を構築するには、人々の生涯各期における多様にして高度な学習要求や学習課題の解決が求められる。また、学習者が自ら主体的に自主学習グループを形成し、課題解決学習に取組むとともに、さらには、学習の成果を活用して、地域づくりの推進役になることが求められる。
 その解決学習の形態として個人学習と集合学習があり、集合学習に集会学習と集団学習がある。学習グループ・サークルによる活動は集団学習であり、生涯学習の推進にはその奨励・活性化が必要不可欠である。また学習者は、共通の目的や内容及び主義主張を持った学びの仲間を求め、ともに楽しみながら、認め合いながら、相互に向上することが求められる。さらに学習者は、学んだ成果が評価・承認されるとともに、自己表現・自己実現の場を求めており、集団による学習効果の機能を持つ学習グループ・サークル活動の奨励・活性化が必要になる。特に、地域における人々の学習活動を推進するには、地域住民の「学びの拠点」である公民館や市民センター等での、学習者を主体とした学習グループ・サークルの育成支援が求められる。
 
 
 
  参考文献
・古市勝也「学習成果の評価としての資格制度の活用」岡本包治『学習ニーズに応える資格』ぎょうせい、平成5年1月15日、pp16-49
・(財)勤労青少年グループワーク協会『ユースワーカー』昭和52年11月
 
 
 
 
  



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