生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

エル・ネット「オープンカレッジ」 (える・ねっと「おーぷんかれっじ」)

el-Net“Open College”
キーワード : エル・ネット、大学公開講座、情報通信技術、遠隔教育・学習、生涯学習審議会
綾牧子(あやまきこ)
1.エル・ネット「オープンカレッジ」‐事業の概要・背景‐
  
 
 
 
  【事業の概要】
 エル・ネット「オープンカレッジ」は、文部科学省が運用している「エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)」を使って、全国の受信施設に、大学公開講座等を放送する事業である。平成11(1999)〜16(2004)年度の6年間については、高等教育情報化推進協議会が文部科学省から委託を受け、研究事業として推進した。
 この6年間で、延べ235大学が参加、全部で726番組もの公開講座が制作され、再放送を含めた総放送回数は1,147回にのぼる(平成12年度からは、前年度までの収録講座からも再放送された)。講座の内容やレベルは、身近な生活課題を扱ったものから、専門的な学習のものまで、多岐に渡っている。1大学の講座は、1〜4つの講義で構成されており、受講したい場合は、受講したい講座が放送される時間帯に、近隣の受信施設に行って視聴することができる。あるいは、受信施設が、講座を活用して地域のニーズに応じた独自の事業を企画し、受講者を募ることもできる。これまでの傾向として、健康関連の講座は主に中高年世代、IT関連の講座は比較的若い世代に受講されている。
【事業の背景】
 近年の情報通信技術の急速な進展によって、衛星通信やインターネット等の高度情報通信基盤が整備されてきた。それに伴って、教育分野においても、遠隔教育・学習を実現するための手段として、情報通信技術の効果的な利活用が期待されている。つまり、情報通信技術を活用することで、時間的・空間的な制約を超えて、多くの人々に多様な学習機会を提供することが可能になるのである。特に、衛星通信は、サービスの広域性・同時性を確保できる特徴を持っている。また、活用の仕方によっては、学習者の主体的な学習活動を積極的に支援する手段ともなる。エル・ネット「オープンカレッジ」は、このような現状を背景に、衛星通信を生涯教育・生涯学習に活用する取り組みとして始まった。
 エル・ネット「オープンカレッジ」の前身的な取り組みとしては、文部科学省(当時・文部省)が平成8(1996)年度から3年間実施した「衛星通信利用による公民館等の学習機能高度化推進事業」がある。これは、大学の公開講座等を、衛星通信を利用して公民館等へ提供することで、人々の学習機会の拡大と学習機能の高度化を推進する実証的な調査研究事業であった。エル・ネット「オープンカレッジ」は、その成果を踏まえたものである。
 一方、文部科学省(当時・文部省)の生涯学習審議会では、平成11(1999)年6月「学習の成果を幅広く生かす−生涯学習の成果を生かすための方策について−(答申)」を出し、「新たな情報通信手段を活用した高等教育機関等による学習機会の拡充」という項で、「通信衛星等を活用した公開講座の拡充」について提言した。次いで、平成12(2000)年11月「新しい情報通信技術を活用した生涯学習の推進方策について(答申)」では、衛星通信やインターネットを利用して、「大学等の公開講座を公民館等を通じて広く提供するシステムの構築」について提言した。エル・ネット「オープンカレッジ」は、これらの方針に基づいて実施されてきたものである。
 
 
 
  参考文献
・「エル・ネット『オープンカレッジ』」文部科学省生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付:http://www.opencol.gr.jp/ 平成17(2005)年5月30日参照
・井内慶次郎監修・山本恒夫・浅井経子・伊藤康志編著『生涯学習〔eソサエティ〕ハンドブック−地域で役立つメディア活用の発想とポイント』文憲堂、平成16(2004)年
 
 
 
 
  



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