生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月27日
 
 

「これからの図書館像」 (これからのとしょかんぞう)

future of the library: to be the information center of the region
キーワード : 公立図書館、図書館の課題解決支援サービス、「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」、レファレンスサービス、ハイブリッド図書館
佐藤容子(さとうようこ)
1.定義・背景・構成
  
 
 
 
  【定義】
 『これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−(報告)』(『これからの図書館像』)は、平成18(2006)年3月に、これからの図書館の在り方検討協力者会議から発表された報告書である。「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成13年7月)施行後の社会の変化や要求、新たな課題等に対応し、これからの図書館の在り方を示している。全国の公立図書館の活動の実践をもとに組み立てられており、代表的な実践事例が本文と別冊の『実践事例集』(図書館未来構想研究会編)に収録されている。
【背景】
 この報告書が成立した背景として、近年様々な図書館改革の提言が行われ、そのうちの多くが実践され効果をあげているが、必ずしも図書館の全体像は明らかになっていないことがある。また、財政危機の中、すべての行政サービスが経費の削減を求められているため、そのような環境下での地域社会への貢献方法や効率的な運営方法が問い直されていることがある。
【構成】
「はじめに」「第1章 よびかけ」「第2章 提案 これからの図書館の在り方」で構成されている。
 第1章では、図書館改革を進めるため、地方公共団体、図書館職員、地域住民、各種団体や機関に対し、図書館の役割や有用性、図書館の利用と図書館の改革を呼びかけている。
 第2章では、公立図書館をめぐる状況について言及したのち、特に取り組むべき課題に絞って、各課題に関する図書館の具体的な実践事例を盛り込みつつ、「これからの図書館サービスに求められる新たな視点」と「これからの図書館経営に必要な視点」について述べている。「図書館サービスに求められる新たな視点」は、(1)図書館活動の意義の理解促進、(2)レファレンスサービスの充実と利用促進、(3)課題解決支援機能の充実、(4)紙媒体と電子媒体の組合せによるハイブリッド図書館の整備、(5)多様な資料の提供、(6)児童・青少年サービスの充実、(7)他の図書館や関係機関との連携・協力、(8)学校との連携・協力、(9)著作権制度の理解と配慮である。「図書館経営に必要な視点」は、(1)図書館の持つ資源の見直しと再配分、(2)図書館長が改革を担う重要性、(3)利用者の視点に立った経営方針の策定、(4)職員の適正配置や機械化等による効率的な運営方法、(5)多様なサービスに対応した評価のあり方、(6)継続的な予算の獲得、(7)対象に応じた広報の工夫、(8)危機管理、(9)図書館職員の資質向上と教育・研修、(10)市町村合併を踏まえた図書館経営、(11)管理運営形態の十分な検討を挙げている。最後に都道府県、国、国立国会図書館の役割について触れている。
 
 
 
  参考文献
・これからの図書館の在り方検討協力者会議『これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−(報告)』文部科学省、2006.3、
URL〈http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701/009.pdf〉、(参照2009/08/26)
・薬袋秀樹「『これからの図書館像』を実現するために−図書館改革の考え方と方法−」、2008.12、つくばリポジトリ、URL〈http://hdl.handle.net/2241/101242〉、(参照2009/08/26)
 
 
 
 
  



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