登録/更新年月日:2009(平成21)年8月27日 |
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この報告書の特徴は主に以下の点である。 1)冒頭が「よびかけ」から始まり、開かれた議論の場を作り出している。 2)変化する地域社会の動きをもとに図書館の役割を位置づけ、その役割を、読書のための資料提供に加え、地域の課題の解決に役立つ資料と情報の提供であるとしている。 3)これまでの貸出中心の図書館サービスが、図書館の数と規模の拡大、所蔵資料の蓄積、職員数の増加、図書館利用の飛躍的な増大等をもたらしたことを評価した上で、貸出サービスだけを優先するのではなく、レファレンスサービスを重要なサービスと位置づけ、それをもとに、地域の課題解決や地域の振興を図る必要があるとしている。 4)レファレンスサービスがこれまでなぜ不十分だったのかを指摘した上で、独立した専用カウンターや窓口を利用者の分かりやすい位置に設置し、そこに担当職員をおくことを重視している。 5)印刷資料の意義を確認した上で、図書館は、インターネット上の電子情報などそのほかの様々な種類の情報を一箇所で利用でき、これらの情報の効率的な利用方法を案内する「ワンストップサービス」を行うことを明らかにしている。 6)電子情報に関しては、紙媒体と電子媒体の組み合わせによるハイブリッド図書館の整備を提案し、総合目録データベースや横断検索システムの活用、業務のオンライン化、各種データベース、電子メールによるレファレンスサービスなどの電子資料の活用を強調している。 7)印刷資料に関しては、図書だけを提供するのではなく、調査研究や課題解決支援に不可欠な資料として雑誌記事を挙げ、その有用性を指摘している。それに加えて、新聞記事、地域資料、地域の機関・団体が発行しているパンフレットやちらしなどの多様な資料を提供することを指摘している。また、講座やセミナー等も情報提供の一環としてとらえている。 8)資源の乏しく、規模の小さい図書館についても、IT技術や図書館ネットワーク等の利用により、多様な情報と資料を提供できることを示している。 9)公立図書館における改革の事例が多数収録されており、その中には町立図書館も含まれている。抽象的な理論だけではないため、改革が可能であることが実感でき、また取り組む際の参考になるように配慮されている。 10)他の図書館や行政組織、地域の機関・団体と連携することで運営の効率を上げる必要性を述べている。また、運営の効率化の方法として、職員の適正な配置や、機械化による省力化などについて指摘している。 11)職員の意識改革を重要視し、研修方法の改革について指摘している。 12)図書館では多様なサービスが展開されているため、今までの貸出冊数を中心とした評価の在り方を見直し、多様なサービスに対応した評価の在り方を考える必要性を主張している。 br> |
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参考文献 ・薬袋秀樹「『これからの図書館像』がめざすもの」図書館雑誌、100(8)、2006.8 ・大庭一郎「『これからの図書館像』とレファレンスサービス」図書館雑誌、100(11)、2006.11 |
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