生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2008(平成20)年12月26日
 
 

青少年教育施設の事業の新たな展開 (せいしょうねんきょういくしせつのじぎょうのあらたなてんかい)

キーワード : 自然体験活動、長期宿泊体験活動、子ども農山漁村交流プロジェクト
山本裕一(やまもとゆういち)
3.施策の動向と青少年教育施設の役割
  
 
 
 
   文部科学省は平成20(2008)年度から「小学校長期自然体験活動支援プロジェクト」を開始した。この事業は、小学校が実施する1週間の自然体験活動を支援するため、全体指導者及び補助指導者を養成することを内容とし、全体指導者については24時間、補助指導者についてはそのうち4時間の研修を受講することになっている。全体指導者は活動時に全体指導を行い活動全体の様子を把握し、終了時に評価の助言等を行う者である。学校教員だけでは円滑な実施が困難であることから、各学校ごとに全体指導者1名、補助指導者4名を配置することを基本として計画されている。これは、学校教育において長期集団宿泊活動を行うに当たっては、実際問題として授業時間数の確保や教員の勤務体制等の問題があることから、広く人材を募り、長期自然体験活動の円滑化を図ろうとするものである。
 さらに、農林水産省、文部科学省、総務省の三省連携により、平成20年度から「子ども農山漁村交流プロジェクト」がはじまった。この事業は、小学校5年生を主たる対象にして、農山漁村において1週間程度の宿泊体験を推進する事業である。このように、国において指導者養成のための施策は実施され、また活動の場の確保のため農村漁村等の活用といったように、まだ緒についたばかりであるが、子どもの体験活動の場として今後の充実が期待できる。
 このように、指導者の養成、確保そして活動の場については見通しが立った。問題は、ユーザーである学校の申し出に対して、指導者と実施場所をどうつなげていくか。必ずしも青少年教育施設だけの役割ではないが、青少年教育施設がこれまで培ってきた経験や実績を踏まえ、地域資源を有効に活用し民間の活動団体を巻き込みながら、これらをマッチングする機能を果たしていくことも大きな役割になっていかなければならないだろう。今後、青少年教育施設が社会教育の振興とともに学校教育を支援する施設として重要な役割を果たすことは明らかであり、一層の充実が望まれる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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