登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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第二次世界大戦の敗戦後、わが国の喫緊の課題は、焦土と化した郷土の再興、精神的かつ物質的に大きなダメージを受けた国民の立ち上がり、そして再び不幸な体制に巻き込まれないための民主主義の普及などであった。こうした時代背景の中、昭和21(1946)年7月に文部次官通牒「公民館の設置について」が発せられ、その中の「公民館設置運営要綱」によって、公民館は、「各町村に設置せられ、此処に常時に町村民が打ち集って談論し読書し、生活上産業上の指導を受けお互いの交友を深める場所である。」と構想された。さらに公民館には、「郷土における公民学校、図書館、博物館、公会堂、町村民集会所、産業指導所などの機能を兼ねた教養の機関」として、「青年団婦人会などの町村に於ける文化団体の本部ともなり、各団体が相提携して町村振興の底力を生み出す場所」となることも期待された。また同要綱には、公民館は「上からの命令で設置されるのではなく、真に町村民の自主的な要望と協力によって設置せられ、叉町村自身の創意と財力によって維持されていくことが理想である。」とも述べられている。ここに、公民館は、住民本位の思想と、「集う(集会)」、「学ぶ(学習)」、「交わる(交流)」という基本機能の発現がみられる。 昭和24(1949)年に社会教育法が制定され、公民館の目的はより明確にされた。すなわち同法第20条に、「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与する。」と規定されたのである。何度かの法律改正を経てこんにちでは、目的達成のための事業として、「定期講座の開設」、「討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等の開催」、「図書、記録、模型、資料等の整備と利用」、「体育、レクリエーション等の集会の開催」、「各種の団体、機関等の連絡」、「施設を公共的利用に供すること」など6項目が例示されている。 そして平成15(2003)年6月6日、従来の基準を大幅に改定して告示された新「公民館の設置及び運営に関する基準」では、公民館の具体的な機能も明示された。その機能は、a.地域の学習拠点としての機能(「多様な学習機会の提供」「学習情報の提供」)、b.地域の家庭教育支援拠点としての機能、c.奉仕活動・体験活動を推進する機能、d.学校、家庭及び地域社会との連携等を図る機能(「類似施設への協力・支援」「青少年、高齢者、乳幼児の保護者等への参加促進」「地域住民の学習成果の活用」)、e.地域の実情をふまえて施設を提供・運営する機能(「住民ニーズの反映」「地域の実情の勘案」)などである。 公民館の機能は、公民館が構想され誕生間もない時期に用いられていた地域・郷土振興、産業振興、社会福祉などの用語は時代が新しくなるとともに使用頻度が少なくなり、かわって、学習の拠点・支援などが多く用いられるようになっている。したがっていま、公民館には、生活の向上に資する諸課題を包括的に対応しようとする姿勢から、生活や地域の課題を教育・学習に特化させ、それらの学習を支援する機能が求められている。とくに、学習の機会、情報、相談に関する機能の充実とそれらを支える体制の整備が急がれる。 br> |
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参考文献 |
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