生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年11月23日
 
 

高校生の子ども劇場活動 (こうこうせいのこどもげきじょうかつどう)

キーワード : ボランティア、世代間連鎖、正統的周辺参加、ライフイベント、身体表現
林幸克(はやしゆきよし)
3.活動支援者に求められる資質・能力
  
 
 
 
  1)身体表現の重視
 学校教育では、口頭発表などの言語による表現とともに、テストや作文などの文字による表現が多くの学習・活動場面で用いられる。しかし、表現方法はそれだけではない。体育や音楽などに代表されるような身体を使った表現も重要な表現方法である。この身体表現の場・機会を確保することが求められる。言語や文字で自己表現することは苦手でも、身体を使って表現することが得意な高校生もいるはずである。ただ、それが、学校教育の中で十分に確保されているとは言い難い。例えばロックソーランを踊ることによって、日頃の学習成果を披露し、無意識のうちに、まちづくりや地域の活性化に一役買っているというケースもある。そこで、様々な実践の中で、この身体表現を用いる場面を積極的に設けることが望まれる。その際、唐突に身体表現の場・機会を提供しても有効に機能しない。SKSでは、学校内や家庭以外で影響を受ける存在として青年の存在が大きく、潤滑油的な役割を担っている。そうした青年のような存在を地域社会で発掘することが、身体表現による高校生の社会参画を促す環境整備として重要である。
2)適切な情報提供・問いかけをする能力
 高校生にとって、学校の教師でもない、塾や習い事の指導者でもない、保護者でもない、大人ではあるが対等な関係を形成できる存在がSKSも含めた地域NPOなどに所属している関係者である。高校生と関係者、双方にとってパートナーシップを発揮できることは重要なことである。その中で、関係者として、高校生の自立を促すという視点に立つと、前面に出すぎることなく、バックアップすることが求められる。活動の展開が過度に恣意的であったり、意図的・計画的であると高校生自身の達成感が得られにくくなるため、強制性や義務性を極力抑えた形で、様々な情報提供をすることが必要である。活動の核心に迫る情報もあれば、周辺的な情報もあるであろうが、高校生が取捨選択する余地を持たせながら、関連情報を提供することが肝要である。高校生は様々な情報を収集しているので、地域の関係者はそうした実態を踏まえて、高校生が触れる機会が少ない地域のボランティア等の情報を提供するように努めることが求められる。また、高校生の話し合い等の中では、話が行き詰まったり、議題から外れたりする場面も多々ある。その際に、大人の立場から露骨に軌道修正したり、アイデアを提示したりするのではなく、高校生の視界が拓けるような問いかけをすることが求められる。そのためには、高校生との信頼関係を形成することはもちろん、その場の雰囲気をきちんと理解することも大切になる。
 
 
 
  参考文献
林幸克「ボランティア先進校におけるボランティア学習評価に関する現状と課題」日本福祉教育・ボランティア学習学会年報Vol.12、2007年
林幸克、「高校生の高校入学前後におけるボランティア体験に関する一考察」日本福祉教育・ボランティア学習学会年報Vol.11、2006年
 
 
 
 
  



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