生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年10月29日
 
 

LAC法を用いた学習相談 (らっくほうをもちいたがくしゅうそうだん)

キーワード : LAC法、学習相談、学習塾、短期療法、生徒指導
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
1.LAC法とは
  
 
 
 
  1 LAC法とは
 生活分析的カウンセリング(Life Analytic Counseling、以下LAC法)とは、松原達哉によって開発された「無気力、無意欲な中学生・高校生・大学生・社会人を対象に、自己の現在の生活行動を詳細に分析反省を求め、意欲的目的的に生活ができるように援助・助言するカウンセリングの技法」である。このLAC法は、生活様式の変化や高度経済成長、少子化による親の養育態度の変化に伴って、無気力・無意欲・無関心な子どもが増加してきたことから生み出されたものである。特に大学生の場合、副業(バイトやサークル活動など)には意欲を持っているが、本業である学業に無気力な学生が多いとされる。このような学生の状態を「スチューデント・アパシー(student apathy)」と呼ぶ。日本では、このようなやる気のなさの現象は、1970年以降に大学生一般に薄く広く見られるようになった。このような学生には来談者中心カウンセリングや行動療法では効果が上がらず、結果としてLAC法が開発されるに至った。現在、このLAC法は、様々な教育場面で活用され、無気力な中学生・高校生・大学生に対する支援・援助において高い効果をあげている。また、これまでの研究で、きわめて健康度が高く、学習に対する動機づけも高い大学生に対してLAC法を活用し、葛藤状態を抜け出す援助に成功した事例も紹介されている。
 LAC法を行うための準備は次の通りである。
1)個別ラベル:縦1.5cm、横4.0cmの青枠ラベルを1人につき20〜30枚
2)グループ名別ラベル:縦1.5cm横4.0cmの赤枠ラベルを1人につき8枚
3)生活行動分析計画図(LAC用紙):B4版大の生活行動分析計画図用の用紙1枚
 ラベルを貼るために枠が仕切られ、用紙の横に10点刻みに点数を記入する。
4)刺激リスト:LAC法の見本例を書いた図版2枚
5)グラフ用紙:B5判大のグラフ用紙を1〜2枚
 これは最重点目標の生活行動分析日程図を作成するためのものである。
6)生活行動分析計画図:具体的に最重点目標の日程を図示した図または表のこと
このLAC法は、通常1年間など長期間に渡って行われるものである。
 LAC法を行うための手続きは次の通りである。
1)初回面接
 初回面接では、クライエントとラポール(信頼)を形成することを主たる目的として、現在の生活状況や今後の目的を確認する。
2)人生線(LifeLineの作成)
 紙に1本の線を引き、「これはあなたの一生を示す人生線です。この線の左端は誕生を表すので0と書きます。右端にあなたの死亡予想年齢を書いて下さい。」等の教示を行い、LifeLineを作成してもらう。書き終えたら、線上のどの部分に自分がいるのかの印をつけ、上に当日の年月日を書く。
3)LAC法への導入
 「2〜3分間この人生線をじっと見て、過去、現在、将来について考えてください」と教示し、じっと2〜3分間考えるように促す。2〜3分が経過したら、考えたことについて話合いを行い、今後何をしなければならないかについて考えさせる。特に、学習相談の場合は、どのような学習を行うのかについて具体的に話合う。その後具体的なLAC法の説明を行い、同意を得た上で、第1段階から第10段階まで導入する。
 
 
 
  参考文献
・松原達哉「生活分析的カウンセリング(LAC法)―無気力から意欲への脱出法―」『立正大学人文科学研究所年報』、第33号、pp.20-21、1996。
 
 
 
 
  



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