生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年12月9日
 
 

天体観測と生涯学習 (てんたいかんそくとしょうがいがくしゅう)

star gazing and lifelong learning
キーワード : 生涯学習、ユニバーサルデザイン、天体観測、光害防止条例、触覚型教材
中村正之(なかむらまさゆき)
1.天体観測は生涯学習か
  
 
 
 
   昭和56(1981)年の中央教育審議会答申「生涯教育について」の中から,生涯学習の基本的コンセプトを4つのキーワードで表わすと,「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」となる。そして,自己実現や余暇の充実のための生涯学習ばかりでなく,学習成果を地域還元するさまざまな活動も展開されるようになってきた。
 天体観測は,専門的研究は別にして,年齢性別を超えて趣味の一環として楽しむ人も決して少なくない。具体的には,宇宙や星座に関する知識を得るための学習,望遠鏡や双眼鏡などの機材を操作するための技術の習得,写真撮影や画像処理等の技術の習得など,さまざまな知識や技術を習得することになる。地球規模での情報の迅速な共有化,観測機材や撮影技術等の飛躍的向上等により,多くのアマチュア天文家によって新彗星や小惑星,新星,超新星などの発見情報も次々にもたらされている。これらの様々な活動も趣味を深める活動であると考えると,天体観測は自己実現や余暇の充実のための生涯学習の一環であるといえよう。
そして,これはすべての人が平等に楽しむ権利を有するものである。
 個人的に観測や写真撮影を楽しむ,いわゆる「自己実現派」に加えて,地域で天文普及啓発を積極的に行う人も増えている。これは,学習の成果を地域に還元する「ボランティア活動」と考えることができる。1992年の生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」で述べられている「当面重点を置いて取り組むべき四つの課題」のひとつである「生涯学習の成果を生かしたボランティア活動」に他ならない。
 以上,天体観測も立派に生涯学習の一環であることがわかる。
 
 
 
  参考文献
・中央教育審議会「生涯教育について(答申)」1981年6月11日。
・生涯学習審議会「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について(答申)」1992年7月29日。
・梶本久夫監修『ユニバーサルデザインハンドブック』2003年,丸善。
 
 
 
 
  



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