生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年9月22日
 
 

(特)いわむら一斎塾の地域づくり (いわむらいっさいじゅくのちいきづくり)

キーワード : 佐藤一斎、恵那市、生涯学習のまちづくり、地域自治区、城下町ホットいわむら
横山幸司(よこやまこうじ)
1.(特)いわむら一斎塾の地域づくり
   
 
 
 
   いわむら一斎塾は、県立高校の教員であった鈴木隆一氏(現在は、いわむら一斎塾副理事長、佐藤一斎顕彰会会長、恵那市教育委員会委員長)が中心となり、岩村町内の有志に声をかけて平成8(1996)年に郷土の偉人である佐藤一斎の教えを学び、研究する会「佐藤一斎研究会」を始めたのがきっかけである。その後、月1回の佐藤一斎の著書「言志四録」の講読会を中心に活動してきたが、研究会が設立10周年を迎えた平成17(2005)年に、より幅広く内外に「21世紀の人づくり、心そだて」を広めることを目的としてNPO法人化した。平成23(2011)年7月現在、会員数は65名である。
 主な事業としては、
1)佐藤一斎の教えを学ぶ定例学習会の開催、
2)郷土の先人や歴史に関する公開講座及びワークショップの開催、
3)講師の派遣、
4)郷土の先人に関する書籍・情報誌の発行、
5)郷土の歴史や先人に関する書籍・論文・資料の収集、
6)郷土の先人の知恵を今に活かすイベント・フォーラム等の開催及び協力、
7)郷土の先人から学ぶ関係団体との研修会及び交流会の開催
などを行っている。
 いわむら一斎塾は、その活動を通じて地域の様々なセクターと関わりがある。はじめに、教育機関との関係だが、地元の小学校や高等学校の児童・生徒を対象に「総合的な学習の時間」において講演を行ったり、教員研修会での講演などの実績がある。また、平成18(2006)年度、19(2007)年度には地元の小中学生や教育関係者を対象にいわむら一斎塾発行の「親子で読む言志四録」など書籍の無償配布を行っている。
 次に、行政関係では、恵那市や文部科学省と実績がある。まず恵那市とであるが、平成19(2007)年度に、市の補助を受け、「三学戒」の額装を150部作り、市の公共施設(市役所、学校、病院など)に無償配布した。
 また、平成21(2009)年度は恵那市で開催された「嚶鳴フォーラム」に協力・参加している。当フォーラムは全国の13自治体が参加する生涯学習関連フォーラムである。恵那市は平成22(2010)年度に、新しい生涯学習推進計画「恵那市三学のまち推進計画−生涯学習『市民三学運動』の推進に向けて」を策定し、いわむら一斎塾に代表されるような市民主体の生涯学習のまちづくりを進めている。 
 また、文部科学省とは平成20(2008)年度に、「『学びあい、支えあい』地域活性化推進事業」の委託を受け、実施している。具体的には、いわむら一斎塾を中心に、公民館等の社会教育関係機関や地元観光協会等からなる実行委員会をつくり、地元の文化(具体的には薪能、重要伝統的建造物群保存地区、秋祭り、江戸しぐさなどについて)を学び、町並みのフィールドワークを行ったり、町並み案内ガイド養成学習会などを開催した。
 次に、企業との関係では、社員研修での講演や企業が地域の社会貢献活動のために創設している助成財団からの支援等を通じてつながりがある。
 最後に、他のまちづくり組織との関係だが、合併後の新恵那市において地域自治区ごとに設置されたまちづくり実行組織、岩村町地区の「城下町ホットいわむら」ともつながりがある。「城下町ホットいわむら」はイベント、観光PRだけでなく歴史・文化の研究、産業振興、教育、福祉等、住民に関わる様々な分野を網羅する各委員会により構成されている。
 このように、いわむら一斎塾の活動は、市が進める生涯学習のまちづくり政策と合致し、地域の様々なセクターと連携・協働することにより、地域づくりに発展している点に特色がある。
 
 
 
  参考文献
・(特)いわむら一斎塾ホームページ http://issaijyuku.com
 
 
 
 
   



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