登録/更新年月日:2006(平成18)年5月31日 |
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【定義】 女性か男性か性の決定は染色体の次元で行われる。受胎時は1個の細胞で、その後、体内のすべての細胞内に複製され46個の染色体となる。Y染色体をもつ精子と出会った卵子は男性となり、女性は、X染色体をもつ精子と出会った卵子によって生成され、280日間かけて胎内で生命を育み出産するという形態的・機能的な生来的特性を持つ。女性の生涯発達は、まずは自らの生命が受胎から始まり、次世代の新しい個体を産み、自らの死に至るまでの変化の過程であり、女性が生来的に持つ特性と、知識や経験、練習や訓練などの学習が統合される。人は生涯、自分の生命の在り様を学習する課題を持つ。女性の生涯発達と学習では、生涯のライフステージにおける発達課題を達成し、生物学的、心理学的、文化・社会学的存在として自己実現をめざすことを意味している。 【説明・動向】 21世紀の今日、日本におけるこれまでの《男は仕事、女は家庭》という固定的な性別分業・性別役割が日常化した社会から《自分らしさ》が問われ、男女が性別に捉われることなく、互いに尊重し合い個性が生かされる社会づくりが進み、社会のしくみが変化しようとしている。このような社会の様相を反映し、女性に固有なもの、普遍的なものではなく、男性の在り様と密接に関わっているという視点から、女性の生涯発達と学習について概観する。 【課題】 女性は、男性と異なって妊娠・出産・授乳が可能であることは、人類が誕生してから今日まで変わってはいないが、女性の生涯をみるとライフサイクルは著しく変化している。特に平均寿命は平成16(2004)年では85.59年と延長したが、合計特殊出生率は1.29となり、20-49歳における子どもがいない世帯割合が平成12(2000)年では16.5%と急増している。また、女性の平均初婚年齢は平成16(2004)年では27.8歳、生涯未婚率は平成12(2000)年では5.82%となっている。女性が妊娠・出産・授乳に関わる時期は相対的に短縮し、言い換えれば、生涯の中で生殖・子育てに直接関与しない女性の増加や、時期の延長が顕著になってきている。 女性自身の意識も変化し、《男は仕事、女は家庭》について、昭和47(1972)年では賛成83.2%、反対10.2%であったが、平成14(2002)年では賛成43.3%、反対51.1%と逆転している。女性の生き方の選択肢は多様化し、豊かな生活を過ごすために生涯を通じて専門的な学習を積み重ね、社会の中で活動しようとする女性も増加している。 女性の生涯発達と学習においては、第一に、結婚・妊娠・出産・子育てはどのライフステージで行うか、或いは、仕事に専念しキャリア発達をめざすか、仕事と家庭は両立か、或いは仕事を中断して再就職か、主婦専業かなど、自分の生命の在り様や生き方をどのように学習し選択するか。女性のライフスタイルの相違が重要な課題となる。第二に、生来的に持つ特性によって生じる人工妊娠中絶や不妊症など、出産時の異常出血など、授乳時の乳腺炎など、様々な健康問題の観点から、女性は生涯を通じた自らの健康づくりについて関心を持ち学習することが重要な課題となる。 br> |
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参考文献 ・平成17年度版国民生活白書、内閣府、平成17年8月12日発行 ・平成16年度版男女共同参画白書、内閣府、平成16年6月18日発行 ・日本婦人団体連合会編女性白書2005、ほるぷ出版、平成17年8月 ・岡本裕子編著、女性の生涯発達とアイデンティティ、北大路書房、平成14年1月 ・松村惠子、母性意識の構造と発達、真興交易医書出版部、平成12年6月 |
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