生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年2月13日
 
 

学校における地域人材活用 (がっこうにおけるちいきじんざいかつよう)

regional talent's use in activity of school
キーワード : 地域人材、外部人材、人材バンク、学校支援地域本部事業、教育基本法
清水英男(しみずひでお)
1.学校における地域人材活用
   
 
 
 
  【字義】
 ここでの学校における地域人材活用とは、地域の人々が自ら有している知識・技術等を活用し、初等中等教育諸学校(以下「学校」という。)の求めに応じて、教育課程をはじめ教育環境の整備や登下校の安全確保などの諸活動に携わることとする。
【説明】
1)学校における地域人材活用の奨励策
 平成13(2001)年に学校教育と社会教育との連携を確保し青少年の体験活動を充実するために、社会教育法(第3条の2)と学校教育法(第18条の2)の一部が改正された。また、平成18(2006)年に全面改正された教育基本法の第13条では、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」が規定された。さらに、平成20(2008)年には、学校が社会教育関係団体や地域住民等の協力を得て教育活動を行う場合に、社会教育主事は求めに応じて助言ができる(社会教育法第9条の3第2項)ようになった。そして、「学校支援地域本部事業」が平成20年度からスタートした。
 これらの奨励策によって、学校における地域人材活用はさらに加速されることが期待できよう。
2)活用の場面と状況
 文部科学省の「平成18年度公立小中学校に置ける教育課程の実施状況調査」によると、外部人材活用の状況は、平成17(2005)年度では小学校が90.2%、中学校が78.2%であったのが、平成18(2006)年度は小学校93.4%、中学校82.2%と増加している。
 具体的には、小学校では、第1位が「総合的な学習の時間」(84.8%)であり、次に、「生活科」(53.1%)、「特別活動」(49.9%)、「社会」(35.2%)の順であった。中学校の第1位から第4位までは、「総合的な学習の時間」(66.5%)、「特別活動」(32.7%)、「技術・家庭」(12.9%)、「道徳」と「外国語」(いずれも10.4%)の順であった。
 一方、平成20(2008)年度から4年間で全中学校区での整備を目指した「学校支援地域本部」は、平成20(2008)年8月現在、495市町村で1,520本部が設置されていた。
3)地域人材と教職員との交流機会の充実
 地域人材の登録・活用システムの一つに人材バンクがある。地方公共団体が設置している人材バンクは登録者が多いにもかかわらず活用されにくく、また、学校単位の組織では登録者は少ないが活用は多い状況にある。その多い理由は、活用する側が求める人材に面識があり適任者を容易に選ぶことができるからといわれている。
 今後は、プライバシーの保護に留意しつつ、学校の教職員と地域人材との合同研修や情報交換など交流の機会を密にすることが必要といえよう。
【事例】
 学校支援地域本部事業は、地域全体で学校教育を支援し、地域ぐるみで子どもの学習・教育活動や安全の確保などに取り組み、地域の教育力の向上などを図ることを目指している。
 ここでの地域人材とは、中学校区単位に設置された「学校支援地域本部」が地域の実情を勘案して策定した事業計画を実施する人々である。つまり、人材バンクに登録された学校支援ボランティア(無償)と学校支援協力者(有償)、学校と地域の支援者の間を調整する地域コーディネーター(有償)などである。
 支援活動としては、生活科や外国語などの「授業補助」、サッカーや演劇などの「部活動の指導」、校内図書室での書籍の貸し出しなどの管理・運営や花壇の整備などの「環境整備」、「登下校時の安全確保」や「合同行事の開催等」などが行われている。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省『平成18年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施 状況調査の結果について』平成18年
・文部科学省『学校支援地域本部事業の実施について(運用指針)』平成20年
・文部科学省『学校支援地域推進事業に関するQ&A』平成20年
 
 
 
 
   



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.