生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2013(平成25)年8月1日
 
 

開かれた大学 (ひらかれただいがく)

キーワード : 公開講座、地域貢献
船木茂人(ふなきしげひと)
1.開かれた大学
   
 
 
 
  【概要】
・ 文部科学省が例年実施している「開かれた大学づくりに関する調査」における近年の調査内容をみると、「開かれた大学」とは、大学による公開講座の取組と地域貢献の取組の両方を含めた概念と言える。
・ 大学による公開講座は、「大学開放の促進について」(昭和39(1964)年文部省大学学術局長、社会教育局長通知)を端緒に、昭和40年代から長年にわたって国庫補助等による推進方策が行われてきた結果、公開講座の講座数や受講者数は着実に増加してきた。
・ 一方、「我が国の高等教育の将来像」(平成17(2005)年中央教育審議会答申)において、大学による社会貢献が教育・研究に加えた「第三の使命」として提言されて以降、各大学において社会貢献、特に地域と協働した取組が積極的になされてきた。
・ このような流れの中、平成25(2013)年度から文部科学省において実施される「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」は、大学全体として地域を志向した教育・研究・社会貢献を推進することを目的とした事業であり、本事業によって、大学による地域貢献が更に加速することが予想される。
・ また、地域の生涯学習の拠点としても、大学に対する期待は大きく、教育振興基本計画(平成25(2013)年閣議決定)では、「大学等の高等教育機関は、本来、地域における生涯学習の拠点としての機能を有しており、その自主的な判断の下、生涯学習センター等も活用しながら、地域支援人材等を養成する人材認証制度の整備や学び直しの場としての公開講座の充実等、機能強化を促進する。」とされているところである。
【調査結果等】
・ 平成24(2012)年度「開かれた大学づくりに関する調査」によると、平成23(2011)年度の大学公開講座の実施状況について、国公私立の大学、短大を合わせると開設学校数は前年度の1,013校から973校へと、開設講座数は前年度の34,740講座から36,696講座へと、受講者数は前年度の1,397,054人から1,399,868人へと、開設学校数こそ減少したものの、全体的に微増又は横ばいという傾向にある。
・ また、地域貢献に関しては、84.4%の大学が所在する地元自治体との連携実績を有しており、71.2%であった前年度調査の結果から増加している。
・ 大学公開講座は、これまで地域住民等の学習機会の拡大に資する取組として大きな役割を果たしてきたが、近年は、教育振興基本計画にも示されたとおり、地域の人材養成や学び直し等求められる役割が多様化してきている。受講者数が横ばい傾向にある中、例えば、人材認証制度としての位置付けを有する講座を開設する等、更に多様で質の高い講座が提供されることが期待される。
 
 
 
  参考文献
・「教育振興基本計画」(閣議決定)平成25(2013)年6月14日
・中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像」(答申)平成17(2005)年1月28日
・平成24年度文部科学省委託調査「平成24年度開かれた大学づくりに関する調査研究」
・平成23年度文部科学省委託調査「平成23年度開かれた大学づくりに関する調査」
 http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/daigaku/1288601.htm
 
 
 
 
   



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