登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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生涯学習の一環として音楽学習が法律化されたのは、平成6(1994)年に発布された「音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律」(略して音楽文化・教育振興法という)である。この法律は、音楽が明るく豊かな人々の生活形成および国際理解と交流に大きく寄与することをかんがみ、生涯学習の一環として音楽学習に係る環境の整備に関する施策の基本を提示した。人々の音楽活動を生涯学習の範疇で捉え、その中から音楽文化の振興を図ろうとした点において、大きな前進といえよう。 平成7(1995)年に始まった「文化政策推進会議」において芸術創造活動の活性化など6つの取り決めがなされ、芸術祭、国民文化祭など多くの地域の音楽文化の向上を図る催しものが実施に移された。この「音楽文化・教育振興法」が意図する事柄が実践に移されたことにより、学習者は音楽に接する機会が増え、音楽の学びが身近な存在となり、音楽活動を通じて自己を確立し、生活に潤いを持たせるような方向に自身を向けやすい環境が準備された。 このような動向の中で、最近の高齢者は、自分の心身の健康を意識して積極的に趣味の「学び」に関わっている。丸林実千代の『生涯音楽学習入門』によれば、自己の生きがいのために生涯学習を行っている人々は(68.8%)あるという。音楽もその一つで、鑑賞、楽器演奏、歌うことの順に好まれている。 中でもオカリーナは、音色が優しく、技術の習得が容易で、持ち運びが簡単なところから、人々の楽しみとして愛され、社会的な活動に結びつき、生涯学習にふさわしい楽器としてみなされている。最近、演奏会のみならず、地域の行事等、さまざまな席で楽しそうに演奏している姿をよく目にする。 加藤の2005年の調査では、全国に500を越すグループがあることがわかった。その中で93%の人がオカリーナ学習を楽しいものと感じている。彼らの楽しみは、(1)皆で吹けたこと、(2)ステージで吹けたこと、(3)合奏での音の重なり、(4)多くの人との交流、(5)皆に喜んでもらえること等、人との交わり、オカリーナの持つハーモニィーの心地よさ、等を揚げている。オカリーナは、ステージで吹いても、結婚式、告別式、森の中で吹いても、しかも一人で吹いてもさまになる楽器である。生涯学習の目標である“みんなで”“どこでも”“いつでも”“なんでも”の条件にぴったりあてはまる楽器の一つではなかろうか。なぜ、こんなにも急激に普及していったのであろうか、オカリーナは生涯学習にどんな役割を果たしているのであろうか、等今後の研究を深めていくための素材がたくさん詰まった宝庫である。 オカリーナは、最近韓国でも吹かれ始めた。日・韓の学習を比較することにより、生涯学習におけるオカリーナの役割がいっそうはっきり掴めるのではなかろうか。 br> |
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参考文献 ・丸林実千代『生涯音楽学習入門』音楽之友社、1999年 ・加藤いつみ「「生涯学習におけるオカリーナ学習の意味」名古屋大学大学院発達科学研究科修士論文、2005年 |
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