登録/更新年月日:2006(平成18)年10月31日 |
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フランスにおいて、公的文化関与の理由として、しばしば掲げられるのが「文化に対する公役務」(service public de la culture)を遂行するという目的である。つまり、文化は公的セクターが「公役務」として引き受けるべきであるという考え方であるが、この「文化に対する公役務」は、目的として掲げられる一方で、その存在については、確固たる理論的背景があると必ずしもいえない。即ち、まず「公役務」として認められるには、その活動に一般利益性を有していることが求められるが、一般利益は、ほぼ総ての領域にわたって存在するため、現実的には、公権力によってその活動が公役務であると承認されたものということになる。 実際に、これまでに出された文化が公役務となるかどうかを争点とする判例においても、その事例ごとに判断が分かれてきたが、1959年にコンセイユデタから出された判例により、文化に対する明示的な性質の承認がなされた。但し注意すべきは、文化が観光とともに公役務となると規定されたことであり、翻って考えれば、理論的には文化のみでは公役務とはなり得ないということを意味している。 とはいえ、実際には「文化に対する公役務」を遂行するという目的から、様々な施策が公的セクターによって実施されており、総じてフランスにおける文化政策は、公的セクターの果たす役割が大きいといえる。 最後に、フランス文化政策をめぐる主要な論点を示すならば、「文化の民主化」が達成されているかどうか、フランス人の文化活動状況と文化政策の齟齬、GATT・ウルグアイラウンドなどで主張された「文化的例外」と文化の多様性、「公的文化関与」の是非などが挙げられる。 br> |
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参考文献 ・永島茜「フランスにおける音楽政策の展開とその運営―『文化的協力の公施設法人に関する法律』の導入からー」『文化資源学』第4号、2006年3月、pp.63-68. ・永島茜「公的文化関与の理論及び制度的検討−フランスの文化に対する公役務の分析からー」『アートマネジメント研究』第7号、2006年、pp.16-26. |
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