登録/更新年月日:2015(平成27)年1月1日 |
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昭和60(1985)年からの臨時教育審議会答申では、生涯学習を推進する目的について、急激な社会の変化に対応することや多様化する住民の学習ニーズに対応すること、更には、学歴社会から生涯学習社会への移行などをあげ、生涯学習の推進は社会全体で取り組むべきものであると述べている。 その後、平成18(2006)年に新たな教育基本法が制定され、第3条に生涯学習の理念として「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」と生涯学習推進の目的と生涯学習社会の構築について規定された。 また、平成25(2013)年に閣議決定された第2期教育振興基本計画には、「知識を基盤とした自立、恊働、創造モデルとしての生涯学習社会の実現」が、「我が国を取り巻く危機的な状況」を打開する方策であると示されている。 このように、当初、生涯学習は、我が国の社会構造を変えるために社会全体で取り組むべきものとして、平成2(1990)年に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」を策定し、国をあげて、その推進に取り組んだ。しかし、バブルが崩壊し行財政改革が急務になると、専ら教育行政において「人づくり・地域づくり」を核にした生涯学習社会の構築を目指すように変わってきた。 現在、教育行政では、生涯学習を推進する方策として、学校教育法第30条の2項で「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」と規定し、生涯を通して学習ができるように、学校教育において基礎的な知識・技能の習得と学習意欲の定着を図っている。また、社会教育では、学校教育で身に付けた基礎的な知識・技能を活用し「自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努め」(社会教育法第3条)、住民の生涯学習活動を支援している。 つまり、学校教育で生涯を通して学習に取り組むための基礎的な知識・技能と学習意欲を身につけ、社会教育では、それらを活用しながら、住民が恊働し豊かな生活を送ることができるように、公民館や図書館、博物館等で意図的・計画的に学習プログラムを提供しているのである。学校教育と社会教育は、車の両輪のように一体となって教育活動に取り組み、人々の生涯学習を推進している。 一方、多くの教員が生涯学習概論を学習しておらず、児童・生徒に、生涯を通して学習することの意義や目的を理解させることができないことや、社会教育主事の減少や予算の削減などにより、住民の学習意欲を喚起し、恊働できるような学習プログラムを十分提供できていないという側面も課題としてあげられる。 br> |
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参考文献 ・工藤朝博「生涯学習を推進する目的と手段」日本生涯教育学会年報第34号、2013年 |
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