登録/更新年月日:2011(平成23)年12月31日 |
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【動向】 生涯学習研究の領域で阪神淡路大震災から得られた教訓として、地域防災の重要性をどのように受け止め、今後にどのように展開していくのかという研究課題がある。このような研究課題と結びつくものとして、地域住民の自主防災組織による防災学習活動がある。阪神淡路大震災を経験した神戸市には、防災福祉コミュニティという自主防災組織が183あり、各地域で独自の防災福祉のコミュニティ形成が取り組まれており、生涯学習の視点に立った活動が活発に展開されている。 【事例研究】 事例として取り上げるのは、神戸市北区ひよどり台の自治会役員らによって構成されている「神戸防災学習コンテンツ」連携促進協議会についてである。同協議会は地域防災の観点として、次の6点をふまえた防災福祉コミュニティづくりをめざしている。内容をみると、(1)災害情報の蓄積と品質管理、(2)安否情報等初動情報は地域で集約、(3)住民が危険閾値を把握・災害検証と予測、(4)多重な情報伝達体制の確保、(5)ICTを活用した地域防災情報の蓄積・掲示、(6)地域の危機管理対応・災害文化の伝承等となっている。 生涯教育情報システムの構築という視点から、地元の神戸学院大学との共同研究が期待されており、大学が地域住民による自主的な防災学習の取組と連携・協力していくための具体的方策として、防災学習のためのデジタルコンテンツづくりがある。すでに神戸市は、行政、対象地区での参加市民、兵庫県立舞子高等学校環境防災科の三者が中心となり、インターネット富山市民塾の参加を得て、神戸防災学習コンテンツ連携実践協議会を発足させている。同協議会は、地域における防災福祉コミュニティ活動を促進させるためのツールとしてのデジタル防災学習教材の作成と活用等が行っている。たとえば防災資機材・住宅防火自然災害についての調査が実施され、防災教育教材作成、防災学習eラーニングの実施等が進んでいる。 防災学習eラーニングでは、「我が家の防災計画(講座開発、参加募集、開講)」、地域での合同訓練等による「我が家の防災計画」の実地体験学習(検証)、ワーキング検討会等のプログラムがあり、「地域防災学習制作コンテンツ」が収集されている。こうした実践に対して、民間会社、保険会社、専門家が支援しており、これに大学のような研究機関の機能をどう活用するかが今後の課題となる。大学にとって、地域社会が作り出している新しい学習機能をどう普及、活用していくのかは重要な課題である。 地域防災力向上という課題として以下のことがあげられている。 @)自助、公助、共助の体制確立、A)自主防災活動による地域コミュニティの維持・活性化、B)防災教育カリキュラム作成と実践(家庭、地域、学校)、C)他組織との連携(企業・団体・NPO・行政)、D)危機管理意識の風化防止策(意識と気づき)、E)PDCAサイクルの確立・目標設定(自主防災カルテ)、F)世代を超えた地域人材の育成、知的支援、人材の発掘と協働、G)地域を支援する包括的な危機管理システムの設置、H)災害文化の継承(興味を持って学べること) br> |
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参考文献 ・今西幸蔵「地域支援としての大学の学習情報センターの可能性」(『阪神・淡路大震災後の地域社会との共生をめざした大学の新しい役割に関する実践的研究報告書第23号 平成18年度研究成果報告書』、神戸学院大学地域研究センター,2007年3月) ・松崎太亮「神戸発デジタル防災学習のとりくみ」(神戸学院大学地域研究センター生涯教育部会報告レジュメ、2006年3月) |
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