生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

学社連携・融合の推進 (がくしゃれんけい・ゆうごうのすいしん)

promote school-community cooperation and fusion
キーワード : 学社連携、学社融合、学社連携・融合推進、学社連携・融合推進組織、学社連携・融合推進ネットワークシステム
清水英男(しみずひでお)
2.学社連携・融合の推進組織
  
 
 
 
  【字義】
 ここでの学社連携・融合を推進する組織とは、推進者である教育委員会をはじめ、学校や広義の社会教育の側が関係事業の企画や連絡調整等の事務を行うために担当者を配置した何らかのセクションをいう。また、以下で言う学社連携・融合推進システムとは、これらのセクションが役割を分担し学社連携・融合事業を総合的に推進するためのネットワークシステム(以下「推進システム」という。)のことである。
【説明】
 昨今、都道府県・市区町村教育委員会の事務局をはじめ、学校や広義の社会教育の側に学社連携・融合のセクションと推進システムが設置されつつある。これらが有効に機能しているところでは、学社連携・融合事業が相乗の効果を発揮し、特色ある学校教育や広義の社会教育が展開されている。
 各セクションの役割としては、次のことがあげられる。
1)都道府県教育委員会の役割
 都道府県の教育委員会は、学社連携事業を県内全市町村に波及する役割を担う。そのため、学社連携・融合にかかわる基本構想や先導的・モデル的な事業と成果の公表などの基本計画を策定すると共に、市町村への助成や指導者の養成と研修の機会の提供等を行う。
2)市町村教育委員会の役割
 都道府県と協働した市町村教育委員会の役割は、実施地域の推進組織づくりをはじめ、学校や広義の社会教育の側のセクションに的確な情報を提供し各種の相談に応じることなどである。また、市町村教育委員会が単独で実施するときは、これらのことに加えて、前述1)の都道府県の役割も果たす必要がある。
3)学校の役割
 学校には、魅力的な学校教育を展開する一環として、「総合的な学習の時間」や「インターンシップ」等への地域の教育資源の活用や地域を舞台とした体験的な学社連携・融合事業を効果的に実施することが求められている。そのため、学校のセクションの役割としては、教職員に学社連携・融合についての理解を深める研修や科目等に学社連携・融合を導入するための相談、また、地域の教育資源のデータベース化とこれらの情報提供、広義の社会教育の側が学校の教育資源を活用するための相談や交流ができるようにセクションの周知に努めることといえよう。
3)広義の社会教育の役割
 広義の社会教育の側には、地域住民が自らの意思で社会教育活動を行えるような環境を整備することが期待されている。そのため、広義の社会教育の側のセクションの役割は、学校開放講座や体育館の開放など学校の教育資源の活用をはじめ、学校に対し自らの教育資源に関する情報の提供や学社連携・融合のプログラムをつくり展開するための企画と学校との連絡・調整・相談などといえよう。
【事例】
 滋賀県教育委員会は、平成14(2002)年度から子どもの体験活動や子育て支援を目的とした「しが子どもの世紀3ヵ年プロジェクト」を推進している。このプロジェクトは、滋賀県と市町村と公民館・小学校区に設置されている「地域教育協議会」などのセクションとの柔軟な推進システムが構築されている。この協議会は、家庭・学校・地域が一体となって実質的に子どもを育てる取り組みを行うことを目的としており、学校には「学校と地域を結ぶコーディネート担当者」を校務分掌に位置づけ、公民館には「地域コミュニティコーディネーター」を設置し、それぞれに研修の機会を提供している。
 
 
 
  参考文献
・日本生涯教育学会年報第17号『地域における生涯学習推進と学社融合』平成8年11月9日
・伊藤俊夫編『学社融合』全日本社会教育連合会 平成12年3月31日
・山本恒夫・浅井経子・坂井知志編『「総合的な学習の時間」のための学社連携・融合ハンドブック』文憲堂 2001(平成13)年2月15日
・『しが子どもの世紀3ヵ年プロジェクトの推進』http://www.longlife/pre.shiga/jp 2005/09/27
 
 
 
 
  



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