生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年3月7日
 
 

家庭教育学級 (かていきょういくがっきゅう)

parent education classes
キーワード : 親等の学習機会、核家族化、少子化、子育て支援
服部英二(はっとりえいじ)
1.家庭教育学級
   
 
 
 
   子どもにとって、家庭は人間形成の行われる最初の場であり、子どもの人間形成を図っていく上で、家庭の影響は極めて大きい。とりわけ乳幼児期は人間の生涯の始期であり、一生のうちでも最も可塑性に富んだ時期であることから、乳幼児期の家庭教育の在り方は、子どもの人間形成を図る上で重要な役割を果たす。
 家庭教育は、親や保護者が子どもに対して行う本来は私的な教育である。しかし、子どもの人間形成に及ぼす親の影響の重要性を考えると、親が子どもの発達段階に応じた家庭教育に関する学習を行うことは、極めて大切なことである。
 このようなことから、社会教育行政においては従来から親等の家庭教育に関する学習活動の支援を成人教育の一環として位置付け、国及び地方自治体は、その奨励に努めてきた。
1)親や保護者が家庭教育に関する学習を行う家庭教育学級
 家庭教育学級とは、親(親になる前の者を含む)や保護者に対し、教育委員会等が家庭教育に関する学習の機会を計画的に提供する事業であり、親や保護者が一定期間にわたって継続的にグループで学習活動を展開する点に特徴がある。
 家庭教育学級は、親が子どもの心身の発達上の課題などを学び、親役割や家庭の在り方を再認識するなど家庭教育に関する学習機会として重要であるばかりでなく、この事業を通じて同じ悩みを持つ親同士が相互に交流し合い、親の自発的な学習を促すきっかけともなっており、地域に根ざした学級として高い評価を得ている。
 国は、昭和39(1964)年度から市町村が開設するこの家庭教育学級に対して、その経費の一部を補助するなど、その奨励支援に努めてきた。しかし国全体としての補助金等についての見直しの一環として平成15(2003)年度をもって、この補助金は廃止され、現在は国の委託事業として一部実施されるほかは、市町村等が自ら実施する事業として乳幼児を持つ親を対象とした学級や父親のための子育て講座、思春期セミナーなど対象や内容に応じた様々な家庭教育学級が開設されている。
2)家庭教育向上のための総合的な対策や支援
 近年、都市化、核家族化、地域における地縁的なつながりの希薄化などを背景に、家庭の教育機能や地域の教育力の低下が指摘されている。また少年非行や児童虐待の深刻化、急速な少子化の動向などを踏まえ、家庭教育学級に参加しづらい親や全ての保護者に対するきめ細やかな家庭教育に関する学習支援策の充実や地域での子育てを支援するネットワークづくりの強化などが求められている。
 このため、家庭教育学級の奨励を含む家庭の教育力の向上に向けた総合的な取組として、平成16(2004)年度から、家庭教育に関する様々な学習機会や相談機会、情報の提供などを柱とする「家庭教育支援総合推進事業」が、国の委託事業として行われることとなった。この事業の中では、子育て支援のための新たな講座の開設や地域での子育てや家庭教育に関する気軽な相談相手である「子育てサポーター」などの育成や支援、子どもの発達段階に応じた子育て上の課題や留意点などを取りまとめた家庭教育手帳の作成配付など親や保護者を対象とした積極的な支援策が講じられている。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省編 平成17年度文部科学白書「教育改革と地域・家庭の教育力の向上」
 
 
 
 
   



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