登録/更新年月日:2009(平成21)年2月13日 |
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【定義】 ニート(NEET)とはYoung People Not in Education, Employment, or Trainingの略である。発祥地のイギリスでは初等教育(5〜11歳)、前期中等教育(12〜16歳)を義務とし、11歳児試験で進路先を決定していたが、1960年代から総合制学校に移行した。1999年には、教育も訓練も受けていない16〜18歳の無業者(NEET)が9%であることが判明し、要因は働く意欲ではなく社会構造にあるとして社会的排斥予防局を創設し、社会的不平等を是正しようとした。我が国はこの概念を導入して、若年無業者をニートと呼ぶようになった。 【説明】 内閣府はニート(若年無業者)を3つに類型化している。「求職型」は若年無業者のうち就業希望を表明する就職活動中の個人、「非求職型」は就業希望を表明しながら求職活動をしていない個人、「非希望型」は就業希望を表明していない個人であるという(2006)。 景気低迷の影響で雇用環境や社会構造が変化し、ニートやフリーター、早期離職者の増加が社会化している。その影響は、@若年労働力人口に減少により経済活力の維持や発展が低迷する。Aニートと正社員等との収入の格差から教育の格差をもたらし、晩婚化・未婚化の要因となり、さらに少子高齢化する。B年金や医療制度等、社会保障の仕組みへの悪影響等が挙げられる。解決策として、平成17(2005)年の「若者自立・挑戦プラン」、同年の全閣僚による「青少年育成施策大綱」、翌年の「若者自立・挑戦のためのアクションプラン」が施行されているが、問題は解決されていない状況である。 【課題】 ニートの実態調査では遅寝遅起き・昼夜逆転の不規則な生活で、家族と一緒に食事し、ふだんはテレビ・ビデオ、まんが・雑誌、パソコン・ゲーム等で過ごす人が多いことがわかった。 (1)自立の遅れと社会からの孤立化:「社会にでることに不安。人と一緒にいるより一人の方が好き。一人で生きていく自信がない」という。 悩みは親に相談し、社会から孤立している。現在の状況になったきっ かけは不登校・ひきこもり経験、体調不良(精神的・肉体的)が多く、精神的・経済的・社会的自立が確立されていない状況に課題がある。 (2)コミュニケーション能力の不足:「不安、自信がない」「人と関わりたくない」が多く、コミュニケーションへのストレスや負担感が大きい。離職理由は「人間関係がよくない」が多く、仕事上では「人間関係をうまくやっていく自信がない」。約束に遅れず行くことは「できない、やったことがない、わからない」という。つまり、人間関係に関する対処法と第一次予防の双方の生涯学習支援が課題である。 (3)能力開発が不充分:求職型は「同じ会社で一生働きたい」というが、非求職型は「将来について楽観的なイメージ」、非希望型は「暇つぶしに何かをする」という志向で、仕事をしなければという意欲が弱い。また「仕事をしたいが自分の能力に自信がない」「自分の能力・適性がわからない」という。 つまり、キーワードは「不安」「自信がない」「他人と関わりたくない」等で、結果的に就職に繋がらないといえる。今後はキャリア教育やインターンシップ、家庭の絆づくり、居場所づくり、支援者の人材養成等、地域ぐるみによる温かくてきめ細かな生涯学習支援が重要になる。 br> |
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参考文献 ・埼玉県ニート対策検討委員会「埼玉県ニート対策検討委員会最終提言書」 2006 ・宇都宮市市民生活部青少年課「宇都宮市若年無業者実態調査報告書」 2007 ・宮崎冴子『21世紀の生涯学習-生涯発達と自立-』 2007 ・宮崎冴子『キャリア形成・能力開発-「生きる力」をはぐくむために-』 2008 |
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