登録/更新年月日:2006(平成18)年10月31日 |
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実際に文化芸術活動を行う場合、行政と利用者(市民)はどのような関わり方をするのであろうか。ここでは音楽活動を例に検討する。 まず、生涯学習活動を目的として、各自治体の開設する音楽に関する講座を受講する場合など、行政と利用者が直接関わる場合である。このように生涯学習活動として音楽活動を行う場合、学習指導要領に拘束される学校教育とは異なり、柔軟なプログラムを編成できるメリットがある。 平成6(1994)年には、音楽振興法(音楽文化の振興のための学習環境の整備等に関する法律)が公布されたことにともない、主に地域における生涯学習としての音楽活動に対し、指導・助言ができる専門的知識・技術をもつ人材の育成が、音楽関係団体等により進められている。このような人材は、音楽だけでなく、生涯学習に関する専門的知識や実践経験を有しているという点で、とりわけ生涯学習講座として開設される講座の場合、積極的に活用されるべきであろう。 つぎに、アマチュア及び活動本拠地となる施設を持たないプロ・セミプロ音楽団体は、オーケストラ、室内楽など他のメンバーとの練習が必要な作品を演奏する場合、練習場所の確保を行わなければならないが、その際に利用するのが、主に公立文化施設(社会教育施設)に付属する練習室・リハーサル室である。 公立文化施設は、民間施設に比べ利用料も比較的安価であるため、多くのアマチュア、プロ・セミプロ音楽団体がこれらの施設を利用している。これらの施設を利用することで、利用者の財政的な負担が軽減され、延いては音楽活動推進に繋がるものと思われる。 一方、利用者にとって、施設利用などのサービスが生涯学習・社会教育行政としての枠組みで運営されているのか、或いは文化行政として運営されているのかは、あまり問題とならない。つまり、学習することが目的であっても、音楽をすることが目的であっても、行政による講座や活動の場の提供といった、いずれの目的にも共通するニーズが存在する。 最後に、文化芸術活動が、まちづくりや地域振興の手段ともなり得るという考え方なども勘案するならば、社会教育行政、文化行政という2つの行政部局を中心としつつも、総合的な事業の展開が望まれる。 br> |
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参考文献 ・枝川明敬『新時代の文化振興論―地域活動と文化施設を考える―』小学館スクウェア、2001年。 ・枝川明敬『文化芸術の政策・経営論』小学館スクェア、2004年。 ・岡本薫『新訂 入門・生涯学習政策』全日本社会教育連合会、2004年。 ・根木昭『日本の文化政策―「文化政策学」の構築に向けて―』勁草書房、2001年。 ・枝川明敬、垣内恵美子、笹井弘益、根木昭『文化会館通論』晃洋書房、1997年。 |
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