生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年12月5日
 
 

情報モラルと生涯学習 (じょうほうもらるとしょうがいがくしゅう)

キーワード : 著作権、肖像権、個人情報、ネチケット、セキュリティ
坂井知志(さかいともじ)
1.情報モラル
   
 
 
 
  【定義】
 情報モラルは、著作権、肖像権、個人情報、ネチケット、セキュリティなどに分けられる。インターネットによる情報発信だけではなく、インターネットを通じた受信情報の扱いなどにも関わる問題である。ここ数年、有害情報への対応だけではなく誹謗中傷など人権侵害の観点からも注目されている。また、インターネットだけではなく印刷媒体としてのチラシや教材としての音楽、映画などの扱いにも関わる考え方という側面も持つ。
【説明】
 最初に個人情報についてであるが、生涯学習事業を実施する上では、個人情報などを扱わない訳にはいかない。従来は、講座などの参加者名簿に連絡先の住所や電話番号、職業、性別、誕生日などの記入欄を疑いなく設けていたが、これらについては、何故必要なのかについての検討を加えなくてはならない。また、講座申し込み用葉書に記入欄が見えないようにシールなどを貼るなどの工夫が施されている事例も散見する。これは、法律などで一律に求められている行為ではないが、そこまで念を入れて対応している例が出ていることは注視しなければならない。個人情報については、生涯学習の分野において十分定着していない面も多いが、肝心なことは利用目的を明らかにしてから個人情報を収集し、それ以外の用途への転用をしないことと管理体制を整えることが求められているのであって必要以上に難しく考える必要はない。
 次に、肖像権の問題であるが、生涯学習講座を実施していくうえで、次年度の広報用チラシに掲載する写真を撮影することは一般的に行われていた。しかし、このような行為にも本人の了解が必要になってきている。個人を特定できる写真は、個人情報という側面もあるが、肖像権の問題でもある。肖像権法という法律は存在しないが、憲法の基本的人権の侵害から考えられる。有名タレントや演奏家・舞踊家のブロマイドを講座でコピーし、参加者に配布することは問題がある。また、講座の参加者の写真を無断で用途も明確にしないで撮影し、印刷物やホームページに掲載することは肖像権の人格権の侵害である。このように肖像権はむやみに自らの姿や映像を公開されること(人格権)や有名な人の写真という商品価値のあるもののコピーが無断で流通することの歯止め(財産権)の考え方の二つの側面と他の権利が絡み合っている権利である。
 次に、インターネットを活用する上でのエチケットやマナーともいうべき考え方、いわゆるネチケットがあるが、この考え方は著作権などの法律の問題から大きなデータを送信しないことというテクニカルな問題まで幅広く、情報モラルと同意語で扱う場合がある。また、セキュリティについては、ウイルスやファイル交換ソフトを使わせないネットワーク全体の問題から個人の意識の問題まで幅広い。
 以上の問題を全て包含して情報モラルとして扱う場合が多い。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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