登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日 |
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【説明】 今日、我が国で話題となっている「開かれた学校」づくりの契機となったのは、平成8(1996)年4月の生涯学習審議会の答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」と同年7月に出された第15期の中央教育審議会(以下「中教審」と略称)の答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」であるといえよう。前者は、大学等における社会人入学の促進や小・中・高等学校における特別非常勤講師としての社会人の活用などを提言した。後者は、ゆとりのある中で「生きる力」を育てる教育への転換をめざして、学校週五日制の導入と新しい精選された教育の実施を提言したが、同答申の中で、今後は学校が社会に対して「開かれた学校」となり、家庭や地域社会とともに子供を育てていくことが重要だと述べた。この中教審答申は平成14(2002)年度からの新教育課程の基となった。 中教審が「開かれた学校」を提言した背景には、そのころ「いじめ」や「登校拒否」の問題への社会的関心が高まっていたという事情がある。中教審はこれらの問題について、学校が家庭や地域の関係機関と協力して問題解決に当たる必要性を指摘し、学校と地域社会相互間の信頼関係を深めるために「開かれた学校」づくりの必要性を訴えたのである。 続いて第16期中教審は、平成10(1998)年9月に答申「今後の地方教育行政の在り方について」をまとめた。「開かれた学校」づくりについてもより具体的に検討して、「学校評議員」の設置、教育モニター、教育アドバイザー等の活用、地域住民に対する積極的な情報提供、ボランティアの受け入れ体制の整備などを提案している。その後、学校評議員制度などを導入する教育委員会が増えている。 【動向】 学校評議員制度は、学校運営に関して地域の有識者等の意見を聞こうとする制度である。文部科学省が毎年度公立学校における導入状況について調査を行っているが、年々設置率は高まっており、平成15(2003)年7月1日現在、幼稚園で15.4%、小学校で66.7%、中学校で69.1%、高等学校で79.9%、盲・聾・養護学校で79.1%となっている。 特別非常勤講師は、昭和63年の教育職員免許法の改正により制度化されていたが、高等学校の専門教育での活用を除けば事例は少なかった。平成8年の生涯学習審議会や中教審の答申でその制度の活用が提言されたこともあって、平成10(1998)年7月、許可制から届け出制に変更され、その後、小・中学校でも事例が増えている。 学校支援ボランティアは、学校の教育活動や学校運営などのために地域の人材の協力を得ようというもので、これも各地で導入するところが増えている。教育委員会でボランティア受け入れのシステムを整備し、学校の希望とボランティア(あるいはボランティアを派遣する機関)との調整を行う方式で行われている。これを契機として、高齢者大学で、学校支援ボランティアの養成を行うというような学社連携の事例や、大学が学生をボランティアとして小・中学校等に派遣する事例なども見られるようになった。 「開かれた学校」へ向けての動きは、元来は子供の教育に地域の人々の協力を得るために始まったものであるが、地域の大人たちが、学校の教育に協力することを通じて、自らも学習意欲を持ち、地域の生涯学習活動を活発化させる効果をもたらしている。 br> |
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参考文献 ・生涯学習審議会答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」(平成8年4月)『生涯学習・社会教育行政必携』(平成16年版)第一法規 ・中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(平成8年7月)文部省発行 ・中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」(平成10年9月)文部科学省ホームページ ・文部科学省「公立学校における学校評議員及び類似制度の設置状況」(平成15年7月1日現在調査結果)文部科学省ホームページ |
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