生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2008(平成20)年12月26日
 
 

ひょうご冒険教育(HAP) (ひょうごぼうけんきょういく(はっぷ))

キーワード : ひょうご冒険教育(HAP)のねらい、冒険教育プログラム、冒険教育の効果(評価)
岸田修(きしだおさむ)
1.ねらい、プログラム、効果(評価)
   
 
 
 
  【ひょうご冒険教育(HAP)のねらい】
 ひょうご冒険教育は、様々な冒険活動(新たな一歩踏み出そうとする体験活動)を通じて、自尊感情を高め、自分を大切にする心を育てること(自己肯定感)、相互の信頼関係を深め、他人への思いやりの心を育てること(信頼関係)、課題解決能力と自己決定能力を育てること(コミュニケーション能力)、困難に立ち向かうたくましさや向上心を育てること(チャレンジ精神)、の4点をねらいとする。
 「ひょうご冒険教育」(略称HAP)は、冒険教育を学校や各種団体に普及し、「“美しい兵庫”をめざすこころ豊かな人づくり」の一環として推進するもので、プロジェクト・アドベンチャー(略称PA)の理論と手法を基に、安全で楽しく学びの多いプログラムを展開している。
【冒険教育プログラム】
 冒険教育の活動(アクティビティ)は、ロープスコースとゲームとに大きく分けることができる。
 ロープスコースは、丸太やワイヤーケーブル、ロープなどで造られた専用の設備を使った活動で、魅力的かつ効果的な様々な冒険活動が安全に体験できるように設計されている。このコースは、地上からの高さによってローエレメント(低い位置に設置されたコース)とハイエレメント(地上6〜10m程度の所に設けられたコース)とに分けられる。ローエレメントでは、課題解決に向けてのグループの話し合いやお互いの体で安全を支え合う活動の中で、チームワークや信頼感などが形成される。ハイエレメントでは、高さの恐怖から強烈な自己との葛藤に出会う。ロープを使って安全を確保し合う中で、それを支えてくれるメンバーや二人でチャレンジする場合のパートナーに対する大きな信頼感や達成感を経験できる。
 ゲームは、上のような構造物を使わない活動(フープや各種ボール、ユーモア溢れるおもちゃ等の小物は活用する)を広く指す。ゲームはそのねらいから、アイスブレーキング(緊張をほぐす)、ディインヒビィタイザー(精神的抑制を取り除く)、トラスト(信頼関係を構築する)、イニシアティブ(問題解決能力等を育む)の4つに分けられる。
このような活動(アクティビティ)を組み合わせて、参加者や参加団体の目的、実施条件(場所・時間・ファシリテーターの人数・・)等を考えて全体のプログラムがデザインされる。実施は、事前の説明(心身の安全の確認、目標の設定、ルール・実施上の注意等)→アクティビティ実施→ふりかえり(何が起こったのか?それは何の意味があったのか?だからどうするのか?等)の流れで行い、グループの状態によって次のアクティビティが決まる。
【冒険教育の効果(評価)】
 HAPプログラムの目標は「たくましくこころ豊かな人間の育成」であるが、この効果は数値では表しにくい。
 HAP講習会に参加した教職員から、「人間と人間とが関わり合って生きていく中で、改めてグループの大切さを学んだ。」、「グループ活動をするにあたって、信頼することや安心できる場がベースに必要であることを学んだ。学校生活の生徒の様子から、さらに何が必要なのかを発見する切り口を実体験できた。」などの感想があった。
 このことからわかるように、冒険教育の効果(評価)については、何よりも実際に体験して判断するのが一番だと考える。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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