登録/更新年月日:2006(平成18)年7月20日 |
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いわゆる「放送・通信の融合」には、大きく分けて2つの意味がある。 第一は「法制面のルール変更」であり、放送法などによる日本国内の規制ルールにおける「放送」「通信」等の定義を、日本の行政機関・関係業界の都合によって変更することを意味する。 これは、基本的に「官対民」の許認可に関するルールの変更であり、放送や通信の免許を受け、行政機関による規制に従う事業者のみに関係するものなので、一般の学習者とは無関係である。 ただし、例えば放送大学など、「官対民」の規制ルールによって行政機関にコントロールされる学習機会提供者(放送・通信の免許を得ている学習機会提供者)には、大きな影響を与える場合がある。例えば、文部科学省が運用していたエル・ネットというシステムは、実態としては放送であることが、規制ルールの変更によって「通信」の免許で行えるようになったために実現したものである。 なお、日本では「官対民の規制ルール」(例えば、役所の許可がないと家を建築できないということ)と、「民対民の私権ルール」(例えば、他人の土地に無断で家を建築してはいけないということ)を区別できない人が多いため、「放送・通信」の国内規制ルールが変わるたびに、本来は無関係な著作権法(私権に関する国際ルール)を変えようとする動きが生じている。 第二は「情報の流通実態の変化」である。前記のような規制ルールの変更等は一般に、放送大学やエル・ネットの例からも分かるように、情報が流通するルートを大きく拡大・多様化させる。これにより、学習機会の提供者(情報発信者)も学習者(情報受信者)も、より多くのルートを活用できるようになる。 こうした場合に重要なことは、新しい情報ルートに関するテクノロジーそのものに目をとらわれず、常に自らの「目的」を自覚し、新しいメディアを常に「手段」として見ることだ。 より具体的に言えば、「手段」にすぎないテクノロジーやメディアについて考えるべきことは、その「機能」であって「メカニズム」ではない。例えば、従来からのアナログ地上波テレビ放送は、音声はFM、画像はAMで送信されているが、技術に関するそのような知識は、テレビを学習活動や視聴覚教育に活用していく上では不要であり、問題は「テレビを使って何ができるか?」ということである。これは、インターネット等の場合も全く同じだ。 また、新しいテクノロジーやメディアを活用する場合には、「できる」ということと「必要だ」ということを、明確に区別していなければならない。技術の発展によって「できる」ことが増えると、すべての機能を使いたがる人が多いが、その機能を使うべきかどうかは、あくまでも「目的」との関係で決めるべきことである。 br> |
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参考文献 岡本薫『学校情報化のマネジメント』明治図書 平成13(2001)年 |
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