登録/更新年月日:2013(平成25)年1月10日 |
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【字義】 本稿での学習指導要領とは、児童・生徒が全国のどの地域に居住しても一定の水準の教育を受けることができるよう、文部科学省が学校教育法等に基づき定めた「各学校(小・中・高等学校、中等教育学校、特別支援学校)で教育課程を編成するための基準」とする。 生涯学習の観点は、ユネスコの成人教育国際推進委員会がユネスコ事務局長にあてた勧告文中の、「人間の一生を通して行なわれる教育の過程をつくりあげ活動させる原理として、人の一生という時系列にそった垂直的な次元と個人および社会の生活全体にわたる水平的な次元の双方について必要な統合」とした。 【説明】 平成20(2008)年に告示された学習指導要領は、社会の変化や青少年の教育課題などを踏まえ、教育基本法等で明確になった教育の理念を反映することと前回の学習指導要領の理念を実現するために、5つの具体的な手立ての確立という観点から改訂された。 この学習指導要領は、児童・生徒が「知識基盤社会」や「知の循環型社会」の進展など社会が急激に変化する21世紀を主体的に生きることができるよう、学習活動を学年間や学校間、学校から社会へのソフトランディングなど、より生涯学習の観点に立って改訂されたといえよう。その背景は、平成18(2006)年12月に全面改正された教育基本法により、教育の目的(第1条)と生涯学習の理念(第3条)が学校教育と社会教育で共有された。また、平成19(2007)年6月公布の学校教育法等の一部を改正する法律によって、生涯にわたり学習できる基盤を培うための基礎的な知識・技能の習得やこれらを活用して課題を解決するための能力を育み主体的な学習態度を養う(第30条の2項関係)ことをはじめ、社会教育関係団体・機関等との連携を深めてボランティア活動などの体験活動を充実する(第31条関係)ことなどが規定されたからといえよう。 この学習指導要領では、これらのことををより具現化できるよう、教師と地域住民の相互理解の深化や授業時数の確保などの手立てを明らかにしたのである。前回の学習指導要領と比べると、前回の要領で基本的な狙いとした「生きる力」を育むことを継承・発展させ、生涯にわたる学習活動の基盤を培う「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな健康・体力」の育成をより重要視している。そのため、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスをはじめ、言語活動や道徳教育、理数教育や外国語教育、体育を充実している。また、小・中学校では各教科の授業時数を10%程度増加した。 各学校は、この学習指導要領によって、地域や学校の特色を生かしながら、生涯学習の観点に立った教育課程を編成し実施し易くなったといえよう。例えば、教科については、学年間や小中連携など学校間にわたる体系的・系統的で段階的な取組(人生という時系列に沿った垂直的な次元の教育機能の統合)が、また、総合的な学習の時間や言語活動、道徳や職場体験活動などについては、児童・生徒の生活の場である家庭・学校・地域の教育機能と積極的に連携し融合した学習活動(あらゆる人間の生活の場という水平的な次元の教育機能の統合)がより充実できるのである。さらに、各教科での知識・技能の習得と総合的な学習の時間などの課題解決型学習や探究活動との段階的な結びつきを図ること(垂直次元と水平次元の両者の統合)を促進できることなどである。 br> |
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参考文献 ・中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支 援学校の学習指導要領等の改善について」(平成20年1月17日) ・新学習指導要領(本文、解説、資料等)文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/index.htm、 平成24年12月25日 ・清水英男「新学習指導要領と生涯学習」日本生涯教育学会年報第32 号、2011年11月、日本生涯教育学会 ・倉内史郎、鈴木眞理編著『生涯学習の基礎』学文社、1999年 |
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