登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日 |
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【説明】 メディアは媒介や仲介という意味があり、かつてはあるものを他のものを通じて知らせるコミュニケーションの手段であった。20世紀にはメディアは自分のメッセージを伝える主体となった。とくにマスメディアと呼ばれる新聞・ラジオ・テレビなどの巨大な視聴覚媒体の発達によって、メディア自身がメッセージの中身を規定して伝達するようになった。したがって、メディアは人間の感覚や存在のあり方をも変えていく強力な影響力をもつに至った。 情報伝達技術が高度に発達した現代では、インターネットの普及によって個人のメッセージを送受信する機会が増大し、いわゆるマルチメディアのネットワーク社会が地球規模で形成されつつある。このグローバル化の中で、人間は多くの媒体手段を用いて、自らが発信と受信をしながら相互に触媒作用をして学習するようになった。すなわちメディアの触媒作用と過程が生涯学習の中心になって、人間存在のあり方を変えていく様相がある。 メディオロジーは、「高度な社会的機能を伝達作用の技術的構造とのかかわりにおいて扱う学問」(ドブレ)と言う。それはコミュニケーションや情報学を超えたメディエーション(媒介作用、触媒行為)の事象を扱う媒介学であると言えよう。誰に、何を、いかに、どのような目的で用いるかというコミュニケーションの過程と仲介的な諸体を力動的にとらえて人間と社会の変容につながる学問である。 メディオロジーは現在の日常生活においても変化をきたしている。言語と感覚、論理と感情、記号とイメージなどを相互に触媒作用を行って変化している。例えば携帯電話や電子メールによって距離と時間の感覚は変化し、現実と幻想の境界線もなくなりつつある。地球の裏側のニュースは瞬時に見られ、映像は現実を示していると信じることが日常茶飯事になった。学習の方法においても、単に学校にコンピューター機器を導入して世界の人たちと交信できるというだけにとどまらないで、メディアによって学校のシステムや構造も変化している。さらに社会組織は個人の集まりやコミュニケーション行為の集積によって成り立つ考え方から、メディアを通じてメディア自身が創出する社会組織、つまりオートポイエーシス(Autopoiesis)[自己創出システム]が実現するかも知れない。 メディオロジーの展開による学習は、多くの問題性を抱えながらも急速に展開している。そのひとつは、電子メールの「ブログ」という新しいホームページができた。ブロードバンドの普及で高速ネット上に生まれた新しい学習の電子空間である。個人が意見を述べる掲示板にとどまらないで、意見交換や人間関係を深める相互学習の媒体として活用している。 プログは生涯学習の手段として2点で注目される。第1は、誰でもいつでもどこでもなんでも、学びたいと思えば直ちに実現できる最適の条件が整っている。そこには学習の自由性と総合性がある。第2は、個人とマスメディアとの間をうめる役割がある。マスプディアでは伝達できない学習内容をプログによって共有できるからである。それらは生涯学習にとって画期的である。まねる、まなぶ、つくりだすという学習行動の新しい展開が期待されるからである。 br> |
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参考文献 レジス・ドブレ 『メディオロジー宣言』 NTT 出版 1999 |
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