登録/更新年月日:2006(平成18)年11月4日 |
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このように、芸術支援の在り方を考察するなかで、筆者はとりわけ「諸外国の状況との比較研究」及び「文化芸術振興と芸術教育の関係」という二つのテーマを研究課題としている。 「諸外国の状況との比較研究」に関しては、文化国家を標榜し、公的セクターによる大規模な芸術支援策を実施しているフランスの例を対象として、様々な芸術支援制度の検討をはじめている。諸外国の文化芸術支援制度は、社会的・政治的背景によっていずれの国も相違しているが、公的部門がどのように文化分野に関与すべきかということでは、同国の例が参照になることと思われる。加えて、日仏両国の行政システムは、最近は変化しつつあり、また一定の相違が認められるものの、類似する点が多いことも理由として挙げられる。 「文化芸術振興と芸術教育の関係」では、学校教育だけでなく生涯学習としての文化芸術活動も検討する範囲に含め、両者の有機的な連携の可能性を探りたいと考えている。 文化芸術の振興に対して、生涯学習、学校教育を問わず芸術教育は、様々な芸術作品の内容の理解を深め、観客の参画を促したり育成したりする効果が見込まれ、反対に、文化芸術活動を行うことは、学習成果の発表となる。 このように、文化芸術活動と学習活動の振興は、これらの活動が相即不離であることを勘案すると、それぞれ別個に検討されるべきものではなく、総合的な観点から学際的・横断的に検討される必要がある。それにもかかわらず、管轄する行政部局の違いや学問の領域の違いなどから、取り組まれにくい傾向にあり、今後の研究課題として、文化芸術振興と芸術教育の関係を多角的に検討し、例えば両者の有機的な連携が可能となる施策例などを提示してみたい。 br> |
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参考文献 ・永島茜「フランスにおける芸術教育の構造的枠組みに関する考察―国と地方の関係をめぐって―」『日仏教育学会年報』第10号(通巻31号)、2004年3月、pp.179-187. ・永島茜「フランスにおける学校参与音楽家―音楽普及の面からの位置づけ―」『季刊音楽文化の創造―音楽文化と生涯学習の総合情報・研究誌―』第36号、2005年3月、pp.70-73. ・永島茜「公的文化関与の理論及び制度的検討−フランスの文化に対する公役務の分析からー」『アートマネジメント研究』第7号、2006年、pp.16-26. |
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