生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2016(平成28)年12月16日
 
 

防災教育活動を軸にした地域組織 (ぼうさいきょういくかつどうをじくにしたちいきそしき)

キーワード : 防災、防災教育、地域組織、特別活動、地域社会
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
2.防災教育活動と地域組織
  
 
 
 
   地域組織とは、市町村内の一定の地区を単位として、住民や行政が協働する形でつくられる組織である。地域組織の活動は、地域内の清掃や子ども・高齢者の見守り、町おこしなどにまで多岐にわたる。これまでの活動では、基本的には行政側が施策を考え、地域へ提供する形が取られてきたが、最近では地域が自らの責任で上述のような活動を実施していくことが求められているのである。自治会はもちろん、老人会や婦人会、青少年団体など、地域にある多くの団体が一体となって活動することが期待されている。
 地域を1つの組織として運営していくためには、集団として活動するための軸が必要である。そのため、地域単位での祭りやイベントの実施、防犯活動などの共通の目的をもって地域組織としての活動を行っている。中でも、防災に関する活動は、社会全体の大きな課題の1つである。それゆえに、防災を軸として地域組織を構築することは、地域住民同士の相互のつながりを強めることが期待できる。特に、学校が中心となって行う防災教育活動は、子どもから大人まで世代をこえて共通の目的を共有することができる。防災という身近なテーマだからこそ、地域組織を構築しやすいのである。
 このような防災を軸にした地域組織を総務省は「自主防災組織」と呼んでおり、消防庁を中心に『自主防災組織の手引き』などが作成され、啓発活動も進んでいる。しかしながら、地域の高齢化や核家族の増加などに伴って、地域組織の構築が難しくなっている。だからこそ、学校が中心となって地域組織に尽力することが必要である。防災教育活動の実践では、学校を中心とした教育活動において、地域組織が学校と協働する。これは地域組織をつくる上で、学校がコーディネーターのような役割を果たすことにつながる。
 これはコミュニティスクールなどをはじめとするこれからの学校と地域の協働にも示唆をあたえる活動になる可能性を秘めている。
 
 
 
  参考文献
・消防庁『自主防災組織の手引き―コミュニティと安心・安全なまちづくり―』2007年。
 
 
 
 
  



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