生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2013(平成25)年4月17日
 
 

広島県における市町の地域課題に対応した研修の方法と課題 (ひろしまけんにおけるしちょうのちいきかだいにたいおうしたけんしゅうのほうほうとかだい)

キーワード : 生涯学習推進センター、職員研修、地域課題
志々田まなみ(ししだまなみ)
2.研修事業の成果と課題
  
 
 
 
   地域課題対応研修支援事業の成果の一つは、企画立案する市町村職員のさらなるスキルアップにつながっている点である。前述したように地域課題対応研修の支援を申し込む市町の研修担当職員の多くが、県センターの初級・上級研修に参加している。市町職員にとって、この地域課題対応研修の企画・立案・実施の業務は、県センターの研修すなわちoff-job研修で学んだ学習プログラム立案のスキルを応用し、今度は職務の一環として、つまりon-job研修として技量のさらなる熟練をはかることなる。
 もう一つの成果は、県センターの職員のon-job研修になっているという点である。県センターでは、地域課題対応研修支援の業務を、一部の研修支援担当者だけが行うのではなく、7名の指導系職員すべてで担当している。全県域を6ブロックに分け、それぞれに地域担当者を割りふり、市町訪問をするなどして、市町とセンターとをつなぐ窓口となる職員を決めている。地域課題対応研修支援の申し込みがあると、この地域担当者が主担当、地域課題対応研修支援のとりまとめをおこなう社会教育主事が副担当となり研修支援に当たる。市町から寄せられる地域課題は多様であり、その課題について市町職員とともに分析し、それに適った研修プログラムや、研修コンテンツを開発していくことは、指導系職員にとって、高い専門性を求められる業務である。その意味で、地域課題対応研修の支援は、当センターの職員にとって重要なon-job研修となっている。
 今後の課題としては、大きく2点指摘できる。
 ひとつは市町村の抱える問題点や悩みに応えるためには、その都度、研修コンテンツを開発していく必要があり、こうした開発が業務上の大きな負担になっている点である。たとえば平成24(2012)年度は23市町村中7市町村から依頼があったが、これが県内すべての市町村から、複数回、依頼が来るような状態になれば、綿密な対応をすることが難しくなる。今後は、どの地域にも共通しそうな地域課題についてはある程度研修コンテンツを用意しておき、それを市町村の状況に合わせてマイナーチェンジさせながら、対応していく必要があると考えている。
 もう一つの課題としては、研修の支援者となる人材の確保が難しい点があげられる。県センター職員や市町内で職員研修を担当できる職員の数は限られる。その場合、他市町の職員に応援を依頼したい場合があるが、その際には当該職員の所属部局の長による派遣としてもらわねばならない。つまり、県や他の市町の研修の講師やグループワークの支援者をになう機会が、その職員のさらなるon-job研修、つまり市町村の職務の一部として理解してもらうことが必要となる。こうした交流を促進するためにも、県内の生涯学習・社会教育関係部局職員の全体のスキルアップのために、各市町村・機関・組織・団体等が、主体的に連携・協力しあうの連携・協力の場=プラットフォームに、県センターがならなくてはならない。こうした人材交流の中核的な役割も、都道府県立生涯学習センターが果たさねばならない役割の一つと考えている。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.