登録/更新年月日:2007(平成19)年7月12日 |
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平成9(1997)年に成立した介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)では介護予防について以下のように述べている。 「第4条:国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生じる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。」 現在、わが国における要介護状態の原因としては脳血管疾患が最も多く、さらに認知症、関節リウマチなどの疾患によるものと、転倒などの事故による骨折などがある1)。 糖尿病や高血圧症などの生活習慣病のコントロールが不良であると、脳血管疾患等をもたらし、最終的に要介護状態を引き起こすことが懸念されている。そのため「メタボリック・シンドローム」キャンペーンなどが行われ、自発的な生活習慣改善が勧奨されている。 さらにわが国では「廃用症候群」の問題がある。これは心身の機能を使わない(廃用)ことがその機能の低下をもたらすというものである。病気等での過度の安静や、介護場面などでの「何でもしてあげる」という態度が当事者の残存機能を使わないことにつながり、結果的に機能を低下させることが問題視されている。しかし介護場面等で、当事者の残存機能を正確に把握した上で、過剰も過少もない適切な介護を実践することは、必ずしも簡単ではない。これは、要介護者と介護者の双方に、廃用症候群に関する知識とスキルがなくては可能とならないことである。 すなわち生活習慣病や廃用症候群予防のためには、国民の間に学習活動が拡がり、知識及びスキルが向上し、同時に個人や家庭、職場での長い実践活動が行われる必要がある。医療や保健に関わるこれらの啓発は、従来から市町村の健康教育や2006年の改正介護保険法による地域支援事業として「○○病教室」等の形態で実施されて来た経緯がある。しかし専門家主導による従来の方法論では最早不十分であり、国民の間では健康に関する知識やスキルへの強いニーズがあることは、昨今の健康番組ブームなどが映し出している。 介護予防は、子どもから高齢者に至るすべての時間(lifelong)という次元と、目覚めてから眠るまでの全ての生活空間(lifewide)という、双方の次元における一体的・包括的な活動が重要である。その意味から生涯学習(lifelong learning)による支援が不可欠といえよう。保健医療福祉行政主導で実施されている現状を変革し、高齢障害者など利用者の声を反映した、ボトムアップで築く介護予防が必要とされている。 注 1) 内閣府編『平成18年版高齢社会白書』株式会社ぎょうせい,2006. br> |
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参考文献 |
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