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登録/更新年月日:2014(平成26)年1月11日
 
 

スポーツ基本法 (すぽーつきほんほう)

キーワード : スポーツ振興法、スポーツ基本計画、文化芸術振興基本法、幸福追求権
合田隆史(ごうだたかふみ)
1.概要
   
 
 
 
  【意義・目的】
 スポーツ基本法は、「スポーツに関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務並びにスポーツ団体の努力等を明らかにするとともに、スポーツに関する施策の基本となる事項を定めることにより、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の心身の健全な発達、明るく豊かな国民生活の形成、活力ある社会の実現及び国際社会の調和ある発展に寄与すること」を目的として制定された、スポーツに関する基本法である(平成23(2011)年法律第78号)。
 スポーツの振興に関する施策の基本を定める法律としては、昭和36(1961)年に制定されたスポーツ振興法があり、我が国のスポーツの発展に貢献してきた。しかし、制定から50年が経過し、スポーツは広く国民に浸透し、スポーツを行う目的が多様化するとともに、地域におけるスポーツクラブの成長や、競技技術の向上、プロスポーツの発展、スポーツによる国際交流や貢献の活発化など、スポーツを巡る状況は大きく変化している。スポーツ基本法は、こうした状況を踏まえ、今後のスポーツの推進のための基本的な法律として、議員立法により制定された。教育基本法と同様、スポーツ振興法の全部改正という形で制定されている。
【構成】
 スポーツ基本法は、前文と5章35条及び附則から成っている。
 前文では、その冒頭に、「スポーツは、世界共通の人類の文化である」と謳い、また、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であると宣言している。これは、文化芸術振興基本法が、「文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利である」(同法第2条第3項)としているのと同様、憲法第13条のいわゆる幸福追求権を具体化したものということができる。
 これに続く第1章総則では、この法律の目的を定めるとともに、「国民が生涯にわたりあらゆる機会とあらゆる場所において、自主的かつ自律的にその適性及び健康状態に応じて行うことができるようにすることを旨として、推進されなければならない」ことなど8項目の「基本理念」を規定している。
 第2章では、文部科学大臣がスポーツの推進に関する基本的な計画(スポーツ基本計画)を定めること、都道府県・市区町村の教育委員会等は、これを参酌して、それぞれの地方の実情に即したスポーツの推進に関する計画(地方スポーツ推進計画)を定めるよう努めることを規定している。
 第3章では、(1)スポーツの推進のための基礎的条件の整備等、(2)多様なスポーツの機会の確保のための環境の整備、(3)競技水準の向上等の3つの柱に沿って、スポーツに関する基本的施策についての国、地方公共団体等の努力義務等を、具体的に定めている。
 第4章では、スポーツの推進に係る体制の整備について規定している。政府は、スポーツに関する施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、スポーツ推進会議を設けること、都道府県・市町村にはスポーツ振興審議会等を置くことができること、市町村の教育委員会等はスポーツ推進委員(非常勤)を委嘱することなどが規定されている。このスポーツ推進委員は、改正前のスポーツ振興法による体育指導委員制度を見直したものである。
 第5章では、国の補助等について規定している。
 附則においては、スポーツ庁等行政組織の在り方について検討し、必要な措置を講ずるものとされている。
 
 
 
  参考文献
・スポーツ基本法:http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kihonhou/index.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
・文化芸術振興基本法:http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/kihonhou/
 
 
 
 
   



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