登録/更新年月日:2006(平成18)年7月20日 |
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(1)OECDの概要 OECD(経済協力開発機構)は、第二次世界大戦後の欧州復興を目的としたOEEC(欧州経済協力機構)を前身として、昭和36(1961)年に発足した先進国の国際機関である。現在の加盟国は30か国であり、日本は昭和39(1964)年に加盟した。 OECDには、閣僚理事会のもとに約30の各種委員会等が置かれ、経済・貿易・途上国支援を始めとして、政策調整・国際比較研究などの活動が実施されている。 (2)OECDの教育事業 教育については、教育政策に関する短期的な比較研究を行う「教育委員会」と、やや長期的な研究活動を実施する「教育研究革新センター」(CERI)の2つの機関が置かれている。 (3)OECDと生涯学習 OECDが生涯学習を正面から取り上げたのは、平成5(1993)年の「先進国教育大臣会合」のテーマが生涯学習とされたときである。 このときの大臣共同コミュニケには、産業・経済の発展や失業率低下に貢献する学習活動という、日本以外の先進諸国に共通する生涯学習振興理由が前面に押し出され、「人的資源は、経済活動、競争力、経済的繁栄にとって、基本的な要素である」といった記述が多く見られる。 1990年代には各国の生涯学習振興施策そのものを比較する研究事業も行われたが、「生きがい」なども視野に入れた日本の生涯学習振興は、各国の関心を集めた。 その後OECDでは、生涯学習を学校教育等から独立したひとつの分野と捕らえるのではなく、全体を包括するマスター・コンセプトと捕らえ、生涯学習振興という全体概念のもとで種々の比較研究事業等が展開されている。 (4)18歳人口の急減との関係 OECD加盟国である先進諸国では、日本とアイルランドを除き、1980年代から18歳人口の急減が起こっていたが、これは各国の高等教育システムに極めて大きな影響をもたらすと予想された。 このためOECDは、昭和56(1981)年にパリで「高等教育政府間会議」を開催し、この問題も含む高等教育政策の課題を広く議論した。その結果、「学力低下を防止するための学生定員削減」(主に欧州の大学が採用)、「大学経営を維持するための学生定員充足+補習授業実施」(主に北米の大学が採用)という選択肢が示されたが、前者の場合にはいわゆる「ニュー・クライアンテール」(新しい顧客)により学生数を補充する必要性が強く叫ばれた。 これには「社会人学生」と「留学生」の二者が含まれたが、欧州のOECD諸国では、前者を獲得・拡大するために生涯学習という方向性が必要とされたのである。 br> |
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参考文献 岡本薫『新訂 入門・生涯学習政策』(財)全日本社会教育連合会 平成16(2004)年 岡本薫『日本を滅ぼす教育論議』講談社 平成18(2006)年 |
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