登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【説明】 著作権の教育上の課題解決方法には、 ア.著作権法の改正 イ.ガイドラインや事例集を作成するなどして権利者と利用者間の合意を得ること ウ.関係者の研修を含めた著作権教育の普及 などがある。また、権利者と利用者の契約のシステム化及び利用者サイドの組織化という課題がある。 著作権問題は、エル・ネットが構築される平成10(1998)年度から情報化に関する行政上の課題となっていた。そのため、文部科学省においては、「著作権システムの手引」を平成11(1999)年7月のエル・ネットの本格稼動にあわせて公表している。教育界における著作権処理を具体化した最初の取り組みといえる。その後、手引きの内容の改訂のほか、著作権問題が高度情報通信社会において大きな課題になることを認識し、文部科学省や文化庁では様々な検討がなされ、平成16(2004)年1月から著作権法が改正された。 主な改正点は、 1)教育機関における児童生徒等による複製(第35条1項) 「教育を担任する者」に限定されていた複製が「授業を受ける者」も無許諾で複製できるようになり、社会教育における学習者が主体的に学習を進めやすくなった。しかし、未だ印刷における複製行為の範囲を超えてはいないため、LANにより結ばれたパソコン同士の情報のやり取りは認められていない。 2)授業の同時中継に伴う教材等の公衆送信(第35条2項) 遠隔教育を行う場合、これまでは副会場の受講者には配布資料を配ることや公衆送信することは自由にはできなかった。この改正により、同時(ライブ)という制限はあるものの、主会場に複製して配布した資料を副会場に無許諾で公衆送信できるようになった。しかし、時間的に忙しい社会人などが遠隔学習を行うためのオンデマンド学習は、同時でないため資料等の活用に不自由さが残っている。 3)試験問題としての公衆送信(第36条1項) インターネット等を利用して試験を行う時、問題や課題を公衆送信できるようになった。 4)拡大教科書の作成のための複製(第33条の1・2項) 「拡大教科書」の作成のために教科書に掲載された著作物を無許諾で複製できる。 これらにより、著作権法は一部とはいえ情報通信社会に対応した改正がなされたといえるが、無線LANやオンデマンド授業などを充実したものとするためには、更なる検討が必要といえる。 また、第35条の改正に伴うガイドラインも権利者と利用者の合意を得ていない。このような状況を改善するためにも教育における権利者と利用者相互の話し合いの場の設定が不可欠といえる。その他、文化庁が推奨している「自由利用マーク」や「著作権契約書作成支援システム」などを普及させることが、デジタルアーカイブをはじめとした生涯学習の取り組みを支援することにつながるとされている。 br> |
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参考文献 ・文化庁・日本書籍出版協会のHP |
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