生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年9月1日
 
 

エル・ネットによる地域からの情報発信 (えるねっとによるちいきからのじょうほうはっしん)

キーワード : エル・ネット、教育情報通信ネットワーク、文部科学省、著作権契約システム、学習コンテンツ制作・契約ガイドライン
下川雅人(しもかわまさひと)
1.衛星通信からインターネットへ
   
 
 
 
  【動向】
 文部科学省(当時文部省)が平成11(1999)年に運用を開始した「エル・ネット」は、衛星による教育情報通信システムであった。平成20(2008)年4月、この衛星通信を利用したエル・ネットは、インターネットによるシステム(教育情報通信ネットワーク)へ移行した。
 エル・ネットのインターネットへの移行に先立って、文部科学省は、平成17(2005)年「教育・学習情報の発信・提供の在り方に関する検討会」を設置し、移行への検討を行った。
 その報告書の中で、衛星通信によるエル・ネットの成果として、
1)講師等に直接質問する双方向性の確保
2)地域教育情報の共有化
3)「著作権システム」の運用をはじめとする発信・活用のノウハウの蓄積
をあげつつ、
 衛星通信エル・ネットの課題として
1)機器・設備の老朽化
2)衛星通信システムのコスト
3)視聴場所・スペースの限定
4)人的サポートの課題
5)VSAT(発信局)維持運用の課題
をあげ、インターネットの優位性を示した。
 報告書ではインターネットを活用した情報提供への移行が必要であるとして、一般的なオープン型のインターネット環境の活用を前提としながら、デジタル・ディバイド、通信容量と通信速度、安定性、著作権等の課題を指摘している。
【課題】
 文部科学省はインターネットへの移行にあたって、衛星通信エル・ネット運用時の「著作権契約システムの手引き」を引き継ぐものとして、平成19(2007)年、ガイドライン制作委員会を設置、「エル・ネット学習コンテンツ制作・契約ガイドライン」(以下ガイドライン)を作成し、関係機関に配布した。
 ガイドラインでは、エル・ネットがイントラネット(限定された受信者)から、インターネット(不特定多数の受信者)に移行することによって、学習コンテンツ制作過程における多様な局面で、知的財産権等の処理が必要になったことに対して、誰でもがエル・ネットの発信者になれるよう、学習コンテンツと権利処理手続きのイメージ図、Q&A、契約書等の文例を示すことで、守るべき最低限のルールと方法を解説している。
 新しいエル・ネットでは、一般ユーザー向け、登録ユーザー向け、受信施設限定のコンテンツが提供されている。オンデマンド配信(要求することで録画されたコンテンツが配信される)だけでなく、ライブ配信(同時配信)も行うことができるが、システムとして講師等への質疑応答機能は持っていないので、別途メール等による質問になる。ライブ配信での双方向質疑は、インターネット上でのテレビ会議システムやチャットを併用することが必要となる。
【エル・ネット(教育情報通信ネットワーク)サイト】
 URL:http://www.elnet.go.jp
「エル・ネット学習コンテンツ制作・契約ガイドライン」
 URL:http://www.elnet.go.jp/elnet_docs/unyo/guideline.pdf
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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