生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月7日
 
 

生涯学習関連財団 (しょうがいがくしゅうかんれんざいだん)

foundation for promotion of lifelong learning
キーワード : 財団法人、生涯学習関連施設、指定管理者制度、公益法人制度改革、公益性
二川薫(ふたがわかおる)
2.生涯学習関連財団の動向と課題
  
 
 
 
   指定管理者制度導入前の地方自治法では、公の施設の管理受託者の範囲は、公共団体、公共的団体または政令所定の自治体出資法人に限定されていたため(管理委託制度)、施設の管理運営は自治体が直営で行うか、財団等への委託に限定されていた。直営以外を選択した場合に、施設の管理運営するために自治体による財団の設立という手法が用いられたのである。その背景には、生涯学習に関する行政需要の増加を背景として生涯学習関連施設が多数設立され、財団が弾力的な施設の管理運営を可能にする新たな経営体とされた点にあった。すなわち、財団設立は、管理委託制度を採用した場合における行政サービスの供給形態の一つであり、施設と財団は一体的に扱われていた。
 しかしながら、指定管理者制度の導入により、施設と財団の関係は切り離された。指定管理者制度の導入期限は平成18(2006)年9月であったため、実態の把握はこれからになるが、かなりの割合で非公募で既存の財団が指定されたようである。既存の財団が単独で指定された例、あるいは民間事業者との共同事業体として指定された例もある。設立の使命を終えたとされ新たな指定管理者の指定をもって解散したもの、公募の結果指定を受けることができずに解散となったものもある。
 指定管理者制度の背景にあるのは、公の施設の多様化と規制緩和による民間活力の導入である。法の意図する経費の縮減、効率的な運用は当然であるが、制度の導入を急ぐあまり、導入自体が目的化してしまった感は否定できない。一般論として、指定管理者制度の制度上のメリットは施設の使用許可権限の代行と利用料金制度(施設の使用料を指定管理者の収入とできる制度)と思われるが、このことと生涯学習の推進との結びつきは明らかでない。今後、公の施設の管理やサービスを自治体に代行して行うことになるため、財団として行ってきた「自主事業」の意味も転換する。指定管理者としての業務における自治体の意思(施設設置の理念の提示)と財団の主体性(その理念を実現する想像力と構想力)が論点になると思われる。生涯学習関連施設の範囲には、施設管理に留まらずに人的なサービスや学習事業の実施、学習活動を援助するという機能が重要である。財団にとっては、事業の継続性と専門性の確保及び経営能力がポイントとなるであろう。
 公益法人制度改革のあり方も財団に大きな影響を与える。関連する法律は既に公布されているので概要は明らかになっているが、もっとも重要な問題である公益性の認定や税制面の措置についての詳細は未だ明らかではない。
 税制面では、東京都において指定管理者が管理する公の施設の事業所税(地方税)の免税措置の廃止が決まったように、税制面においては民間事業者と同じ対応を迫られる可能性がある。
 設立当初から財団で運営している施設のなかには、自治体に運営のノウハウがあるとは言い難い事例も見受けられる。今回導入された指定管理者制度が、専門性を要求される施設の活性化につながるのか、このような形の競争を通した改革が生涯学習関連財団等の非営利組織に馴染むのかは予断を許さない。今後、公共サービスの担い手としての財団の存在価値が試される。
 
 
 
  参考文献
・二川薫「岐路に立つ生涯学習関連財団」日本生涯教育学会論集27、2006年
 
 
 
 
  



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