登録/更新年月日:2006(平成18)年10月30日 |
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【説明】 地域の祭や年中行事をデジタル映像として残すためには、二つの課題がある。一つは、技術の課題である。もう一つは、活用するための著作権、肖像権、個人情報等の制度の課題である。 1.技術面の課題 デジタル技術は、パソコンと圧縮、ネットワーク、検索、保存技術の問題を抱えている。 パソコンは処理能力の遅さとインターフェイスの問題である。現在のパソコンは未だ利用者にストレスを感じさせる処理能力の遅さと操作性の悪さがあり、誰にでも易しい機器とはいえない。 圧縮技術は、画像や音声の品質の問題もあるが、現在の圧縮技術で残したものをどのように変換していくのかの問題のほうが将来大きなこととなりえる。古い形式の8ミリやVTRテープを簡単には見ることができないことからも分かるように、現在の圧縮技術は永遠のものではない。それにどのように対処していくかである。 次いで、ネットワーク技術の問題であるが、セキュリティの問題も含め、簡易なシステム構築が求められている。教育のイントラネットを構築する必要性が未だ議論されていない現状で、ネットワーク技術の問題は早計かもしれないが、通信技術は多地点に情報を同時に送ることには向いていないということは認識しておくべきであろう。 検索は、キーワード検索が主流となっているが、動画や多様な視点からの検索には限界がある。シソーラスの開発なども含めたような取り組みが期待される。 保存技術は、圧縮と共通する課題を抱えている。さらに、セキュリティの課題もある。企業などは三つ以上のサーバーに情報を分散保存し、一つを破られても情報としては読み取られないようにしている取り組みもみられる。また、DVDなども永遠に保存が可能なメディアではない。長くても20年を限度と考えるほうがよいとの報告もある。 2.制度面の課題 国立公文書館や各都道府県の公文書館には公文書等に関する展示スペースがある。これらは、国際的な博物館の組織のICOM定義によれば博物館の一つである。公文書館において行政文書を公開することは法的に認められているが、それをコピーして教材にすることはできない。沖縄県公文書館が沖縄戦の映像記録や戦後の沖縄の復興記録をアメリカの公文書館等から収集しているが、それは学校教育・社会教育の教材には簡単にはできない。少なくとも編集・加工は難しい。それと同じことが各都道府県の公文書館や博物館、そして公民館、図書館などにもある。 また、著作権と同様に肖像権や個人情報にしても医学会の「インフォームドコンセント」の考えなくして構築したものは利活用できない。 アーカイブを活用した学習を実現するためには、それを構築する人々に技術と制度のバランスの取れた見識が求められる。それを実現できる人材の証明としてデジタル・アーキビストの資格が存在する。 br> |
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参考文献 ・後藤忠彦監修、谷口知司編『デジタル・アーキビスト概論』日本文教出版 |
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